論ずるに値しない、岸田インフレ論

さてさて、次の国政選挙も近くなり、自民党の一人勝ちを止めるべく、立民をはじめとする野党は直近のインフレというよりもエネルギーを含めた原料高が起きたのは岸田政権のせいである=岸田インフレ論を展開しています。この岸田インフレ論は正確なものなのでしょうか。

4月の物価上昇率

4月のコアCPI2.1%、コアコアCPIは0.8%と前年同月比で上昇しており、物価上昇は正しいといえます。が、これって、よくよくグラフみると菅政権時の携帯電話料金の引き下げが前年同月にあったのですよね。これの戻りがあるので、純粋にコアCPIが2%増えているわけではありません。
また、単月での物価上昇率のみをもって、日銀の物価上昇率が達成したから、速やかに金融引き締めを始めるべき、ではありません。緩やかな物価上昇率が安定的になったところで金融引き締めを始めるというのが、日銀のやるべきことですから、まだ安定期にすら至っていません。なお、米国に至っては、そもそも物価上昇率がFRBの設定したゴールに近い段階であったところに、バイデン政権の100兆円財政支出があり、物価上昇率が5%を超えてしまい、さらにロシアの侵略により、コストプッシュでコアコアCPIが8%増加となっているので、幸か不幸か日本とは別の局面にいます。

岸田政権の施策による物価上昇への影響

岸田政権になってからの施策で物価に影響しそうなものがまったく見当たらないのですが、エネルギー高、穀物高はロシアがウクライナに侵略したことによる世界市場への供給減少だし、具体的な商品、サービスで岸田政権の影響で値上がりしたものがまったく見当たりません。いや、これらの状況に今年の夏の電力供給力不足問題が加われば、岸田政権の無策ぶりを攻めたくなりますが、インフレで攻めてはいけません。

正しい岸田政権批判

エネルギー高に対しては、資源国でない立場としては買う量を減らすしかありません。これに最適なのは既存火力発電分の原子力発電所の置き換えです。原子力規制委員会の審査を通っても稼働できない原発が多すぎる問題は国政側がリスクをとって稼働に必要なことを進めていくしかありません。ただし、この夏はどう転んでも間に合わないので、争点は冬ですね。今の日本の気候だと、火力発電所をメンテしているときに急に寒くなり、しかも、曇りや雨の日で太陽光発電の出力が少ない時に供給力が足りなくなりがち。
穀物高に対しては、政府引き渡し価格の固定化で損失分は政府が持つという形が最適です。理想は市場原理に任せて、小麦がダメならお米でいいじゃない、と米需要に置き換えていくというところなのでしょうが、短期的にこれは実現不可というか、市場原理に任せないとおいしいものが残らない。
あとは、国民生活の救済という面では、消費減税。税率変更はシステム上対応ができない、と財務省はいいますが、何をいっているのですか、いますぐに10%から8%への変更はできるでしょ。本当は5%まで時限的に下げたいところですけどね。


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