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FIREよりも大事なモノ

最近やたら目にするFIRE。FIREに関する一冊の読書を通して思ったことを書きます。

そもそもFIREって

Financial independence=「経済的な独立」とRetire early=「早期のリタイア」を合わせた言葉です。かつては橘玲氏あたりが前者はよく著作にしていた印象がありつつ、早期のリタイアってのがポイントなのですね。アメリカでは前からこの言葉が流行っていたらしく、日本でもこの数年、いや、2020年以降、よく見るようになりました。

アメリカでEarly Retireを目指す人がいるのは、めちゃくちゃ働いた上でup or outのどちらかしか選択肢がない過酷な競争環境にいるから、というのはよく分かるのですが、日本では正直なところ、良くも悪くも初任給1千万越え、ただし、半分以上が翌年には残っていないってところは少ないのでピンとこないところではあるのですが、どちらかというと、人生を考えるきっかけになるいい機会だなと思いました。

FIREを実現するための手段

この本は極めて常識的なことを言っています。
収入を増やし、支出を減らし、残ったものは投資で増やす、それだけです。
これが日本の社会制度に即した説明となっていて、そこがこの本の有用性を高めていると思います。

収入を増やすには

収入を増やすには、さらに長く働く、結婚してる人は共働きを続ける、時間単価を上げること、副業をすることを俎上に上げ、長く働くことのデメリットが多いことを考えると、共働きの継続と時間単価を上げることを推奨しています。時間単価を上げるためには、出世の手段を理解することや社内の資格制度・研修制度を利用して、スキルアップを図ることを提案しており、たしかに副業するよりもはるかに効率はいいですよね。

また、副業については、年収100万円以上を稼ぐには相当の労力が必要であることと税金に関しても注意することをあげています。

支出を減らすには

固定費の見直し、具体的には固定費10%カットを目指し、家計簿アプリを活用して支出の分析を行うこと、そもそもの消費活動を見直し、生活の質を落とさない最低限の支出をすることを提案しています。ここについては、思うことがあったので、のちほど書きます。

投資で増やすには

収入から支出を除いた残りを投資に回して増やしていくわけですが、全額を銀行預金で回す場合、インデックス投資をする場合、個別名柄に投資をする場合の三パターンから、インデックス投資をする場合をお勧めしています。これら3つは、順番にリスク=リターンが低、中、高となっており、現役世代が働きながら投資に使える時間を考えると、インデックス投資がもっとも有効性が高いわけです。また、FXだったり、暗号資産だったりも勧めていない点は常識的でいいと思いました。

日本の社会制度も理解しておく

公的年金は破綻はしないこと、ただし、給付時期の繰下げ、給付水準の引き下げはあるかもしれないことは理解しておくこと、医療保険は所得に応じた上限があり民間保険に入る必要はないこと、IDECOやNISAも利用可能は範囲は使っていくことを説明しています。そう、これも極めて常識的。

読書後に思ったこと

著者はまったくの常識的な話を展開しており、しかも、まずはプチFIREを目指そうといいます。これは標準的なリタイアよりも5年早いリタイアをいっており、いきなりのFIREなんて、ほんの一握りの人しかできないという点を踏まえたお話だなと思いました。

で、FIREに関して思ったことは2つ。

1.支出は単に削るよりも、時間を節約できたり、健康には積極的に支出していくべきと思いました。FIREの金銭的な側面も大事ですが、リタイア後も人生は続いていきます。その余生を健康的に過ごすための先行支出は積極的に行わないと、結果として、人生が楽しくないし、支出も想定外に増えていくはず。

2.家は所有すべきという話をしていますが、これは意見分かれるところ。20年後の日本の賃料はほぼタダになるということも予測される中で持ち家でなくても、問題ないのではと思います。

いずれにせよ、FIREを考えつつ、どうやって生きていくかを考えることも大事と改めて思いました。


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