同時通訳中 2023/7/19

昨日の連休明け一発目の同時通訳はなんとも切れ味が悪くて申し訳なかった。勢い良く話が進もうとしている中、私も追っかけるべきところを、足がもつれて転びそうなイメージ。頭の回転も口の動きも鈍い。「あーはいはいそういうこと言いたいのね」と理解しながらその内容が口をついて出てくるのが良いリズムなのだけど、逐次通訳並みに遅れる。何これ。しっかり寝てるつもりでも眠れていない可能性もある。この暑さだから。
午後、別のクライアントの逐次通訳の時には覚醒レベルも上がり、エンジンもしっかりかかっていた。けれどやっぱり午前中の出来が悔やまれる。
一夜明けて今日の同時通訳はさすがに多少は滑らかにできたと思う。筋トレと一緒であまり間を開けてしまうとまずい。ただし慣れてくると今度は米原万里の言うところの「不実な美女」に傾きがち。多少丸めて、綺麗に言えちゃうからね。どちらかと言うと「誠実な醜女」でありたい私、厳密な意味で誠実な美女になるのってなかなか難しい(あくまでも仕事の話です)。

そんな1日の終わり、カルロス・ゴーン氏が外国特派員協会で行った会見を見た。内容そのものよりも仕切っていたジャーナリストの神保さんの英語力と逐次通訳者の様子にどうしても注意が行ってしまう。神保さんの発音はやや分かりづらい箇所もあるけれど、あれくらいきちんと喋れたら下手に通訳を入れずに直接コミュニケーションを取った方が良いレベル。素晴らしい。
そして同業者として気になる、英語(かもしかしたらフランス語とか?)の方が母語であろう男性の逐次通訳者さん。冒頭の郷原弁護士による要旨がとにかく途切れなかったのには同情しかない。1回の発言で5分は喋ってたんじゃないだろうか?逐次通訳の場合2〜3フレーズごとに止まってくれないと、流石に記憶力も追いつかないし、細かいことを取りこぼすリスクも出てくる。紙何枚分メモ取ってたんだろう。気の毒に。きっちりした原稿があらかじめあって、それを前日までにもらえていれば話は別だけども。仮にそうだとしても通訳がいるのに話を適当なボリュームで止められない発言者に対しては、信頼されていないような蔑ろにされているような失礼な印象を受けるし、なんならエゴ丸出しだなと思ってしまう。どれだけ崇高な内容であっても、通訳を介さないと伝わらないオーディエンスがいる以上、そのための配慮をして然るべきではないか。こういう止まれない方の通訳はいっそのこと同時の方がいい。
私は同時でも逐次でも忘れる前にどんどん訳出してしまいたいので、たとえ逐次であっても餅つきのペアのようにリズミカルにやるのが理想。メモを取る時間がないくらいのスピードで。しっかり打ち合わせしておけば、講演なんだかと特に、1フレーズごとに訳せばお客さんも待たずに済むので眠くならないし。
会見は更に進んで質疑応答に移る。今度はオンラインで登場したゴーン氏が止まらない。めっちゃ長尺で喋る。でもゆっくり一定のスピードを守って喋るから、これも同時にしてしまった方がかえって疲れなかったかもね。同じ論旨のことを繰り返すことが多いし、記者側の質問は非常にシンプルだから・・・。通訳さんの疲れと集中力の低下が感じられて、中盤から私の方が苦しくなってしまう。大変だよな〜。前々から関わっている人ならともかく、事前準備も知識も必要だし。法律に強い人ブッキングしたのかしら、とか色々気になる。

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