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アラサーが仕事の話をするからちょっと聞いてほしい。

突然だが、私はイベント会社で働いている。
「イベント会社」と聞いてどんなイメージを描くだろうか?
ライブのような興行系の催事をやっているイメージが強いが、私が生業としている「イベント」はちょっと違う。
私たちが取り扱うイベントの主催者は「企業」でイベントの実施目的はブランドのイメージアップや商品の販売促進である。

例えば、飲料メーカー…。
そうだな、ペットボトルのお茶飲料のキャンペーンがあるとしよう。
お茶についてるシールを集めて応募したら限定イベントに招待される、みたいな内容だったとする。
(どこかで聞いたことがある?気のせいだ)
我々のようなイベント会社は
・会場探し
(「キャパ500・静岡・〇月×日空いてるとこ探して」とか「●●という会場の〇月の土日の空き日程確認して」とかオーダーが来る)
・イベント運営スタッフ手配
(会場はあちらです、と誘導しているお兄さんお姉さんを見たことはないだろうか?)
・衣装や備品の手配
(買ってきたり、オリジナルの小道具やTシャツ、ハッピなんかを作ったり)
・ブース設営
(テントやフォトスポット等の施工)
・出演者の控室の準備
・弁当用意
・お土産品のアセンブリ
(紙袋にお茶とチラシとうちわとか入ってたりするだろ?あれを人数分作る作業のことだ)
etc...
数多の表に見えない雑務を行っている。
※尚、私は某I社の案件には関わったことはありませんので。何卒。

どちらかといえば興行よりも広告業界に近い立ち位置。
広告代理店が立てたプロモーションの計画の中のイベント部門(リアルプロモーションと呼ぶ)の制作(ヒト・モノ・カネの管理と配置計画を立てること)と運営(当日良い感じになるように頑張ること)をやっている。

イベント業界と一括りにすると勘違いされがちなのだが、残念ながら弊社に就職しても「おもしろい企画」を考えて提案することもなければ、「沢山の人を集める」ための計画を立てることもない。
思い浮かべる「イベント」の一番楽しい部分は奪われている。
残念だったな、小僧。
基本的には誰かが面白いと思って作った企画の裏どり作業(フィジビリティ確認という)がメイン業務だ。

ぶっとんだ企画は面白いが、頑張っても実施できなければ意味が無い。
例えば、渋谷のスクランブル交差点潰して国民的アイドルがファン5000人と踊るのは無理かもしれないが、商店街を封鎖して国民的フォークデュオが2000人くらいのファンと歌うことはできるかもしれない。
(そんな企画、どっかで聞いたことがある?知るか。気のせいだ)
もちろんゲリラではできないから関係各所と交渉が必要になる。
お互いの条件をすり合わせてOK項目、NG項目を洗い出す。
そういう交渉ごともイベント会社の仕事である。

私のところに回ってくる企画は80%がぶっとんだ企画である。
・どろんこ遊びがやりたいから、きれいな泥と、泥をまき散らしても怒られない広いイベントスペースを探して(きれいな泥ってなんだよ)
・駅チカでお茶を飲みながら日本庭園を散策できてイベントもできて控室が4部屋以上あって天井高さが5m以上で200人以上人が入れて全館貸し切りができてあと松茸を網で焼きたい(落ち着け)
・お菓子でドレスを作ってコンパニオンに着せて1枚ずつお客さんに取らせたい(それはスト〇ップやん。公然のワイのセツや)
・特殊メイクで「ひょっとこ」の顔を作りたい(どういうお笑い?)

予算だったり、リソースだったり、あとは法律との兼ね合いで、ワクワク感を失わせないように現実的なところに落としこむのが腕の見せ所、なのかどうかはわからんが、私はこの仕事の醍醐味はそういうところなんじゃないかと思っている。

仕事をやる上で大切にしている言葉がある。
「できない理由を探すな。やる為の方法を探せ」
これは偉大なるリーダー、ゆず北川悠仁の言葉である。
イベントとは非日常である。
「そんなことはできない、だって…」
と口にする人には何人にも出会ってきた。
できなくて当たり前だ。
誰でもできることは非日常ではなく日常だ。
普通じゃできないことをやるからこそイベントであり、イベント会社の存在意義だ。
できない理由を探したらキリがない。
「やる」ことを大前提として、その為に何をするのか、どうすればできるのか。
それを考えることが私たちにとってのクリエイティブだ。

日々の作業はびっくりするぐらい地味だ。
基本的にはパソコン画面と向き合い、色々な人との交渉に赴き、猛ダッシュで町をかけずり回りながら必要な備品を買いそろえて、ボロボロになりながらマニュアルを書き、うぉんうぉんとラミネートをかけている。
毎日が文化祭の前日。
私はあまり現場に出ないので永遠に文化祭当日が来ない。
自分の手から離れてモニター越しに見るイベントは他人事みたいに感じる。
たまに現場に立たないと喜びが感じられない。
雑務に忙殺されているとなんのためにやっているのかわからなくなってしまう。
楽しんでくれる人がいるからこそイベントは成立するのだ。
イベント業はとてもいい仕事だと思う。

こんな世の中。
全てのイベントがいとも簡単にすっとんでしまった。
イベント会社はどこも苦境に立たされている。
特に制作・運営系の会社はかなり厳しい状況だ。
新しいビジネスを考えながら日銭稼ぎに足掻いている。
もし今の状況が収束したとしても「元通り」にはならないだろう。

じゃ、どうすんの?なんて簡単に聞かないでほしい。
「行かないで私のマボロシ」状態だ。もう少し絶望させてほしい。
こんな日には「濃」の歌詞がやたらと心に刺さる。

完全に昼夜逆転してしまったので、今から寝ます。
おやすみなさい。

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