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海外でビジネスをするには・・・⑨数字を見て、読み解いて、動く

おはようございます。

1月から、自分の経験や体験を通じて感じた「日本の会社は、こうやれば、もう少し海外ビジネスをうまくできる」を書き始めました。
前回は、「訴訟にはどのように向き合うべきか?」について書きました。
今日は、「数字による管理とは?」について書いていきたいと思います。

会社が危ういことに気付けますか?

私が以前駐在したインドネシア現地法人での体験をお話しします。
赴任当時、その現地法人では、最終利益はプラスなのに資金繰りに苦しんでいました。
「黒字なのに現金がないってどういうこと?」
当時、私の頭の中はクエスチョンマークだらけでしたが、よくよく財務諸表を紐解くと以下の状況が明らかになってきました;

  • 売掛債権:債権回収が進まず滞留債権が積みあがっていた

  • 棚卸資産:工事中断等により既払い分の請求ができていなかった

当時の現地法人社長の方は財務・会計にあまり明るくありませんでした。
恐らく、彼は、これらの数字の真の意味を理解できていませんでした。
その代わり、彼は、自分にとって都合の良い受注や売上などのトップラインの数字ばかりを見ていました。

経営者がちゃんと数字を見ることができなければ、会社が危ういことにさえ気付けません。
ユニクロ創業者の柳井氏は「重要な数字チェックこそ経営者が自らすべき」と仰られています。

数字を見続け、読み解くことはひどく退屈な作業であるのですが、経営者として絶対にやらなければいけないこと<略>
経営者が数字の意味を理解していないと、間違った情報で判断してしまう

https://president.jp/articles/-/1199

では、「重要な数字」って何でしょう?

Cash Is King

こんな格言を聞いたことはあるでしょうか?
"Revenue is Vanity, Profit is Sanity, but Cash is King"
(売上は虚栄、利益は健全、キャッシュは王様)

またまたユニクロ創業者の柳井氏のお言葉を紹介しましょう。

1勝9敗で良いが再起不能の失敗をしない。
キャッシュが尽きればすべてが終わり。

柳井正著『一勝九敗』新潮社出版

そうなんです。経営ではキャッシュがとにかく重要なんです。
キャッシュを獲得できているのか?
キャッシュを獲得できていないならば、その原因は何なのか?
経営者にとっての「重要な数字」とは、こうしたキャッシュフロー分析のための数字だと私は理解します。

では、キャッシュフロー分析のための数字とは具体的には何でしょうか?

まず、キャッシュを獲得できているのか?
これは、フリーキャッシュフロー(FCF)や営業キャッシュフロー(営業CF)を見ます。会社全体だけでなく、会社の事業特性に合わせて事業部毎又は案件毎に見ることも必要です。
私は、会社全体のFCFと大型案件の営業CFを毎月チェックしていました。

次に、キャッシュを獲得できていない原因は何なのか?
これは、バランスシート(B/S)の資産を見ます。キャッシュを獲得できていない主要因である資産の変動と効率を分析します。
資產はキャッシュの源のはずですが、実際にはキャッシュを生み出さない資產が潜んでいる、そんなケースが多いのです。
例えば以下のような例が考えられます;

  • マンション購入→貸す→家賃収入有り=購入マンションはキャッシュを生み出す健全な資産

  • マンション購入→貸せない→家賃収入無し=購入マンションはキャッシュを生み出さない不健全な資産

資産のなかでも、まずは売掛債権と棚卸資産を分析しましょう。
因みに、私は以下の通りに分析していました;
①現状を過去と比較する
 変動:過去と比べて増えているか減っているか
 効率:過去と比べて回転期間が長くなっているか短くなっているか
 ※回転期間=資産÷売上高
②現状と原則を比較する
「~であるべき」や「~であるはず」という原則を考える。
 売掛債権:売上が減っていれば売掛金も減るはずだけど、実際は?
 棚卸資産:受注残が減っていれば棚卸資産も減るはずだけど、実際は?
ベンチマークとする同業他社の数値が入手できる場合は、それらと比較するのも良いと思います。
こうした分析をすると、悪化している又は原則とのギャップが大きい項目が分かります。
それらの項目を更に深掘り(因数分解)していけば、自ずと真の原因にたどり着きます。

To know is one thing. To practice is another.

当たり前のことですが、知ることと行うことは別、です。
いくら分析しても、何も実行しなければ意味がありません。
では、実行する人と実行しない人の違いって何でしょうか?

分析はして何をやれば良いかも分かっているけど、実行しない人。
こういう人はそもそも経営者に向いていないんだと思います。
直ちに経営から退きましょう。

分析はしたけど何をやれば良いか分からない、だから実行できない人。
実際には、そんな人が多いのではないかと思います。
分析したとしも、本当の原因までたどり着けていなければ、実行に移すのは無理です。このボタンを一つ押せば雪崩式に改善していく、そんな「押しボタン」にまで辿り着く必要があるのです。
御心配なく、そんなに難しいことではありません。
私の経験上、地道に因数分解していれば、いつか「押しボタン」に辿り着きます。

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