カリフォルニア州司法試験#1_弁護士登録要件
日本の会社でインハウス弁護士として勤務しながら、2018年にカリフォルニア州司法試験を受験(初受験)&合格しました。少し時間が経ってしまいましたが、当時の情報や勉強の方法を少しずつ公開していきます。
0. Bar Examの受験資格
日本の弁護士資格があれば、LLM学位を保有していなくてもattorney applicantとして受験資格が得られます。大学の卒業証書を英訳して提出したりする必要もないので、弁護士資格保有者であればとても便利です。
弁護士資格がなくても、日本の法学部(法科大学院)+米国LLM学位でもOKなようですが、学部の単位に法学系の授業が少なかったらダメとか、法科大学院を卒業していないとダメとか色々と制限があるみたいです。このあたりは毎年変更がありうるので、 Office of Admissionsに問い合わせてみてくださいね。
米国留学なんて難しい…という方、東京在住であれば夜間のLLMに通えます(https://www.tuj.ac.jp/jp/law/index.html)。受験資格としては不要だったものの、私もかつて通っていました。主要な受験科目を授業で学んでおいたことも、短期合格に役立ったと思います。
ちなみに、上記のLLMコースの学生さんたちの中には、イリノイ州の司法試験(試験はUBE / Uniform Bar Examinationで、NY州などでも採用されています)を受ける方もちらほらおられました。イリノイ州は、日本の法学部+米国LLM学位で受験可能なようなので、法学部卒の方は検討してみても良いかもです。
では、無事受験資格を満たしたところで、登録までに何が必要か順に見ていきましょう!
1. Bar Exam
弁護士登録のために最も重要、かつ最難関の試験です。かつては3日間にわたるハードスケジュールでしたが、現在は2日間に短縮されています。
内訳下記のとおりで、私の受験時は、2000点満点中の1440点が合格ラインでした。全体の概ね7割の得点ですが、素点ではなく全体調整後の点数なので、7割正解することが必要というわけではなかったです。あくまで目安。
1日目(配点50%):午前Essay 3問(3時間)、午後 Essay 1問(2時間) +Performance Test 1問(1.5時間)
2日目(配点50%):MBE 200問(午前と午後3時間ずつ、各100問)
この1440点のラインが難しすぎるという議論が数年前からあったようで、2020年からは1390点に下げられることになったようです。果たしてどの程度合格者が増えるのでしょうか…
2. MPRE (Multistate Professional Responsibility Examination)
2時間60問で構成される法曹倫理の択一試験です。年3回実施され、アメリカ国内であればどこでも受験可能なので、日本在住なら、グアムやサイパン、ハワイあたりに休暇も兼ねて行くと楽しいですよー!但し、席数枠があまり多くない上に、中国や韓国を含むアジアの受験生ですぐに席が埋まるので、予約はお早めに。
点数は調整後のスコア(素点ではない)で、50 (low) 〜150 (high)で採点され、合格点は州によって違います。私の時は、カリフォルニア州は86以上で合格でした。
Bar Examに比べると難易度低めの試験ですが、法曹倫理(Professional Responsibility)は、CA Bar ExamのEssay科目でほぼ毎年出題されているので、手抜きは厳禁。きっちり勉強しましょう。BarbriやKaplanなど各種Bar Reviewコースが無料のMPRE準備コースを出していますので、それらを使うと便利です。
Bar Examと別試験なので受験タイミングがやや悩ましいですが、Bar Examの前に受験する場合は半年かそれ以上前(あまり直前だとBar Examの準備に支障が出る)、後の場合はBar Examのすぐ後(Essay科目でProfessional Responsibilityを勉強した直後なので記憶が鮮明)がおすすめです。私は、Bar Examの後に休暇がてらグアムで受験しました。
3. Moral Character Determination
いわゆるバックグラウンドチェックですね。弁護士としての適格要件を満たしているかどうか、過去の犯罪歴や自動車の事故歴などを書面でチェックされます。よほどのことがない限りpositiveの結果がもらえますので心配する必要はありませんが、とにかく手続に長い時間がかかります。最終結果が出るまで1年くらいは余裕みて始めておいた方がいいです。なお、Bar Examの合格前から申請可能で、一度positiveの結果が出ると3年間有効です。
個人的に特に手間だったのが、(1)指紋採取と、(2)リファレンス、でした。
指紋採取は、カリフォルニア州外の場合、FD-258という指定された形式で採取して送付しなければならないのですが、これが極めて特殊なため日本国内で対応している場所が少なく…。私は西新宿の法科学鑑定研究所というところにお願いしました。私の友人は、Bar Examの受験時に、カリフォルニア州内のlive scan locationを訪問して、ついでに指紋採取してしまったようです。もしスケジュールが許せばこの方法が簡単かつ安いかもしれませんのでご参考まで(2020年の試験はonline実施なので使えませんが...)。
リファレンスは、現在&過去の勤め先と、友人知人に送られます。勤務先は、現勤務先の上司に問合せの手紙が届いたのは確認しましたが、過去の勤務先までは(おそらく)問合せはいかなかったようです。友人知人は申請時にこちらで5人指定したところ、そのうち3人に実際に問合せがいきました。問合せはどれも形式的なもので難しくありませんが、うっかり手紙を放置されると手続が進まないので、予めお願いしておくのが安心です。
4. Attorney Oath
上記全てをクリアしたら、いよいよ弁護士登録です。Office of Admissionsから送付される登録用カードに記入して、大使館に行って宣誓します。この手続きはめちゃくちゃ一瞬で終わり何の感動もない(笑)ので、感動が欲しい方は旅行ついでにカリフォルニアまで行って宣誓するというのも良い思い出になるかもしれません。ここまでお疲れ様でした!
California Bar Exam 受験生を全力で応援しています!