カリフォルニア州司法試験#3_MBE科目

California Bar Examの試験科目は、全部で13科目です。うち7科目(Civil Procedure, Constitutional Law, Contracts, Criminal Law and Procedure, Evidence, Real Property, and Torts)はMBE(択一)とEssay の両方に、残り6科目はEssayのみで出題されます。
全部合わせるとかなりの分量なので、当然ながら強弱をつけて勉強することになります。まずはMBE科目について勉強中に感じたことをまとめてみました。「日本の法学部で勉強をしたことがある」立場からのコメントです。

Civil Procedure

MBE科目に採用されたのは比較的最近のようです。MBE、Essayともに Jurisdiction (裁判管轄)の論点が出題の大きな割合を占めます。この論点は連邦制と関連するため、日本人にとってはなじみがなく、慣れるまで少々時間がかかるかも。日本の民訴法の授業では、管轄権はさらっと終わることが多いですしね。

MBEは連邦ルール(Federal Rules of Civil Procedure)から出題されますが、Essayではカリフォルニアルールも出題範囲です。とはいえ、かなりの部分が連邦ルールと重複しているので、余裕がなければカリフォルニアルールは飛ばしても何とかなるかも。

Constitutional Law

大きく、統治機構と人権に分かれるのは日本の憲法と同じです。
MBE対策として重要な統治機構は、三権分立に関する論点もありますが、それ以上に、連邦制(Federal System)に関する論点が多いです。連邦制になじみのない日本人にとってはトリッキーに感じられるかもしれません。私も理解に時間がかかりました。Essayで出る可能性が高い人権(individual rights, 1st Amendment Freedom)は、基本枠組みは日本とほぼ同じです。というか、日本が米国での議論を輸入している部分が多いですね。違憲審査論とか、日本の法学部で憲法・人権を履修したことのある方は、見覚えのある内容で難しくないと思います。

特徴的なのは、 Essayで憲法が出るときは、信教や表現の自由がキリスト教と絡めて出題されることが多い、ということです。歴史的な背景や判例の蓄積がそうさせるんですね。Ten Commandments, Nativity, Sabbathなど知らない単語がEssayの問題に出てくると一瞬「??」とパニックになります…(もしかしたら私が知らないだけで一般常識の部類なのかもですが)。対策のしようがあまりないですが、頭の隅においておくと良いかもしれません。

Contracts & Sales

Essayでも頻出の重要科目で、人によって好き嫌いが分かれる印象です。日本の契約法と異なる点は多々ありますが、直感的に受け入れやすいルールが多いように思います。契約の成立やその内容確定が重要論点なのは日本と共通ですね。暗記すべきルールの分量が多く、Essay対策では避けて通れないので、近道は諦めてみっちり暗記しましょう。

Criminal & Criminal Procedure

Criminal Lawは直感的に受け入れやすいルールが多く、内容は理解しやすいと思います。日本と大きく違うのはconspiracy(共謀)の考え方でしょうか。いわゆる「実行の着手」より少し手前で犯罪として成立しうる、ということになっています。
Criminal Procedureは、日本の刑訴法(捜査)に相当します。逮捕関連の論点や、捜索の範囲に関する論点などはとてもよく似ているので、日本の授業を受けたことがあれば難しくないと思います。

Evidence

日本の刑訴法の証拠法に相当します。違法収集証拠や伝聞法則が重要論点なのは日本と同じです。MBEとEssayのいずれにおいても、主要ルールを正確に記憶していくことがかなり重要です。細かいパズルのようでなかなかきついですが、基本的な発想は日本の刑訴法と同じなのがせめてもの救い。Hearsay(伝聞)は、一度日本の法学部の授業を受けていればかなりスムーズなのでは思います。
Essayで出題される場合は多論点型が多く、常に時間との戦いです。問題文にたくさん証拠が列挙されていてひたすら順番に検討していくみたいなパターンもあれば、刑法&違法捜査&証拠法(違法収集証拠)のコンボみたいなパターンもあります。

California Distinctionはやった方がいいとは思いますが、全部カバーしようとすると分量がえぐいので、多少無視してもなんとかなる気がします。

Real Property

制度が何とも独特で難しく、日本語に訳し切れない(対応する制度・用語が日本にない)トピックも多数出てきます。日本の民法・物権を念頭においているとかなり戸惑うはずなので、じっくりと慣れる時間を確保しましょう。また、Contract同様、暗記するルールの分量が多いです。

ちなみに、独特の制度の一つとして、 Rule Against Perpetuityというトピックがあります(説明しだすと複雑なので内容は省きます)。マスターしようとすると極めて難解ですが、古い制度のため現代では形骸化してほとんど使われておらず、Essayで出題される可能性はほぼゼロ、かつ、MBEでも1問出るか出ないかなので、無視しても何とかなります(Barbriの授業でも時間をかけるなと強く指導されました)。日本の司法試験で手形小切手法を捨てる感覚に近い…かもしれません。

Torts

Criminal Lawと同様、直感的に受け入れやすいルールが多く、内容は理解しやすいです。内容もCriminal Lawとかなり重複します(一つの行為の刑事責任と民事責任で裏表の関係なので、重複して当たり前ですね…)。ハードルが低く、Bar Exam準備の導入に最適な科目で、BarbriのカリキュラムもTortsから始まっていました。





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