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工学系研究者の私が喜びを感じる瞬間

1 はじめに

皆さんこんにちは。私は工学系の研究者として、或る学術機関で働いています。本稿では、工学系研究者として、「工学とは何」「研究者とは」「工学系研究者の私が喜びを感じる瞬間」について紹介したいと思います。

2 工学って

大学における理系学部としては、理学部、工学部、医学部、理工学部、薬学部、農学部などがあります。医学や薬学は名前からどのような学問なのか想像しやすいと思います。では、「工学とはどのような学問なのか」、「理学との違いは何なのか」について簡単に紹介したいと思います。工学は、数学、物理、化学、生物、地学でわかった知見、知識、法則、公式、定理など(つまり理学)を使って、「人が幸せになるためのモノ・システム」を生みだす・創りだす学問です。理学は純粋にその問題・法則などを探求します。それに対して、工学は理学を道具として使います。
(おそらく農学も工学と同様でしょう。)

3 研究者とは

世界中で誰もやったことがないこと、答えがわからないことに挑戦し、答えを導き出すのが研究です。自ら研究しそれを公表したり(論文や本、学会発表など)、研究する方法を学生や後輩に指導したりするのが研究者です。誰もやったことがないことや誰も答えがわからない問題に挑戦するのが研究なので、答えが存在するかどうかもわかりません。その方針すすめれば答えにたどり着けるのか、それともそもそも答えがないのかわからず、とても不安になることもあります。そのため、ひらめきが重要です。日頃の好奇心や考える習慣がひらめきに繋がると思います。好奇心は自分の専門に限らず、広い分野に亘って好奇心を持つのが良いと思います。工学の場合、人が幸せになるためのモノを創りだす学問なので、人の幸せについて意識することも大事だと思います。
(ちなみに私は純文学を読み感想を書いたりすることがありますが、それは人間の本質や幸せ(と不条理)について考え、自分なりの哲学をもって研究を進めるためです。)

4 工学系研究者の私が喜びを感じる瞬間

以上を踏まえて、私が幸福感や充実感、達成感を覚える瞬間についてお話ししたいと思います。主に、「ひらめいた瞬間・答えが出た瞬間」「研究が他の研究者から評価された瞬間」「指導した学生等が同様の幸福感や達成感を覚えた瞬間」の3つです。

4.1 ひらめいた瞬間・解けた瞬間
学校の授業や試験勉強で、難しい問題・ちょっと考えても解けそうにない問題に直面したという経験がある人も多いと思います。そんなときにすぐ答えを見るのではなく、解法が思い浮かぶまで考え続ける、それでもわからなければ一旦保留して、他のことを始めてみます。するとふとしたときに、解法が思い浮かぶことがあります(歩いてるとき、お風呂に入っているとき、窓の外を眺めているときなど…)。それがひらめきです。ひらめきいたときは非常に嬉しいです。勉強に限らず、今までできなかったことができるようになったときの嬉しさを経験したことがある人も多いかと思います。研究者は世界中で誰もやったことがないこと、答えがわからないことに挑戦しますので、ひらめいた瞬間の嬉しさは筆舌に尽くし難いです。

4.2 研究が評価されたとき
4.1で書いたように、できないことができるようになった瞬間、非常に嬉しく感じると思います。さらにそれを先生や親からほめられれば、一層嬉しくなると思います。さらに、それ優れていると認められれば表彰されることもあると思います。表彰されたときは非常に嬉しく感じると思います。このことと同様に、研究者は自分が行ってきた研究が他の研究者から評価されたときに非常に嬉しく思います。自分が行った研究を論文や学会で発表し、他の研究者に紹介します。その発表が高い評価を得られたとき、非常に嬉しく思います。その研究が非常に優れていれば、賞をもらえることもあります。自分の研究が他の研究者から高く評価され、受賞したときの嬉しさは筆舌に尽くし難いです。

4.3 指導した人達が同様の幸福感・達成感を覚えたとき
研究者は、大学院の博士課程を経て博士の学位を取得し、就職した後何年か経ると、人を指導する立場にもなってきます。自分が指導している学生等が4.1と4.2で書いたような喜び、達成感を覚えたとき、指導者も同様に(あるいはそれ以上に)嬉しく感じています。この喜びは形容し難いのですが、指導者を経験したことがある人にはわかるかもしれません。自分が教えた子ができるようになったとき、本人以上に嬉しく感じるものです。

5 おわりに

本稿では、工学系研究者が喜びを感じる瞬間として、主に「工学とは何」「研究者とは」「工学系研究者の私が喜びを感じる瞬間」についてお話ししました。工学は自然科学の法則や定理など理学を使って、人が幸せになるためのモノ・システムを生みだす学問であり、工学系研究者は、世界中で誰もやったことがないこと、答えがわからないことに挑戦し、人が幸せになれるような新しいモノを生みだそうと奔走しています。新しいものを生むにはひらめきが重要であり、ひらめいたときには非常に嬉しく感じます。日頃の好奇心や考える習慣がひらめきに繋がりますので、日頃から考える習慣がある人・好奇心がある人は研究者に向いていると思います。
  最後に、私はまだ感じていませんが、喜びを感じるであろう瞬間についてお話したいと思います。それは、自分が考えたモノ・システムが実用される時です。私達が創ったモノが実用され、それによって皆が幸せ・笑顔になるとき、工学系研究者である私は最高の喜びを感じる瞬間になるだろうと思います。そのような将来を描きつつ、日々研究に励みたいと思います。
  本稿が研究者になりたい、研究者に興味があるという人の参考になれば幸いです。

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