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[研究室運営] 口頭発表・ポスター発表がある卒論発表会・最終成果報告会をオンラインでどう実施するか?

大学で卒論や修論があるところは、1~2月は卒論・修論発表会でバタバタだと思います。

私が所属する先端メディアサイエンス学科では、卒論発表会は各研究室で独自に実施するものとなっているため、中村研では1月末~2月上旬に通常卒論の発表会を実施しています。また、卒論発表会は折角の機会ですので、この日に修論発表会のプレ発表会(本番は専攻全体で実施)と、学部3年生、修士1年生の進捗報告会も兼ねて実施しています。

例年だと卒論発表は口頭発表で実施し、それ以外の発表についてはポスター形式で実施しているのですが、新型コロナウィルスの影響、そして緊急事態宣言が出されたこともあって、対面実施は無理となり、どうオンラインで実施するかを試行錯誤していました。また特に、中村研の報告会には、外部の方に色々と参加いただいているので、外部の方にどう参加いただくかということを考える必要があり、それを色々考えつつ実施しました。

どうやったのか?

ということで、ここからは色々工夫した記録になります。

オンラインで口頭発表だけであればZoomが一番安定していますので、Zoomで実施したら良いのですが、ポスター発表をどのように実施するかというのはかなり悩みが深いです。色々な学会等に参加して、それぞれの学会が試行錯誤されててすごいなと思うのですが、やはりどうしてもポスター発表はあまりうまくいってるのを見かけません。Zoomのブレイクアウトルームを使って、各自移動してもらうという手はあるのですが、バージョン違いでうまく行かないことも多いため、外部の方がいらっしゃるような状況では難しいです。また学会などでは、そのために色々なサービスを用意してたりしますが、サービスを横断すると色々な人が脱落していってしまうので、それもなんとか避けたいという思いもあります

ということで、今回は、できるだけアプリケーションのインストールなどの手間なく、アカウント作成の手間も少なく、また多くの人が参加でき、重すぎず、別れた場所で各自が発表しつつ、また聴衆もそれぞれ好きなところに自由に動き回ることができるサービスとしてプログラミング教育でも利用していたRemo Conferenceを採用し、Remo Conference上で口頭発表、ポスター発表を回す形で実施しました。

Remo Confereceでどうポスターをやる?

今回、口頭発表(卒論発表)が8件、ポスター発表(M2+M1+B3)が17件だったので、ポスターをまずは2つに分割することに。

で、Remo Conference上に5階分のスペースを作成し、ポスターの1つ目のセッションでは、下記のようにポスターの発表者を2階の各テーブルに割り当て、

ポスターの2つ目のセッションでは、3階を使って同じように発表者を各テーブルに割り当てました。

Remo Conferenceだと、誰もが気軽に部屋を移動することができ、また部屋単位で画面共有しながら会話をすることができるので、特にコントロールする必要がないのでとても助かります。

レイアウトに矢印が入っているのは、配布するポスター資料がこの順序で並んでいるので、その順序どおりに移動すれば資料をめくるのはお手軽で良いよという事もあったためでした。

Remo Conferenceを使うことで、手軽に聞きたい発表のところに移動することができるため、実際こんな感じで、ずっと各テーブルひとがいっぱいの状態で(むしろ部屋の上限が6人だったので、研究室の学生さんには遠慮してもらったくらい)もりあがっていたようでした。

ちなみにセッションによってフロアを分けているのは、ポスターはなかなか撤収がうまく行かないことがあるためそれを避けること、またポスターをしているのか、切り替えているのかわからないなどの対処のためです。また、1階を使わず2階と3階を使ったのは、最初にログインした時に入るのが1階なので、遅れてきた人が急にポスターの部屋に入ってしまわないようにするためです。

Scrapboxに記録(質問やコメント)を残す

ポスター発表では多くの聴衆がおり、また限られた時間では全員が十分に質疑ができない可能性があるうえ、うまく質疑を残すことができないことも多いものです。そこで、この報告会用のScrapboxのプロジェクトを立て、Scrapboxをすべての発表について整備し、招待URLをRemo Conferenceで流して参加してもらうことで、そちらにコメントなどを残してもらうようにしました(最終的に61名が参加いただいていたようでした)。

なかなかこんな感じで並んでいるととても良いです。このそれぞれのページに、まずはポスターについて、こんな感じで書き込みがなされていっています(学生さんのポスターについて色々とコメントが付いています)。

また、ポスター発表も時間に限りがありますが、卒論の口頭発表は発表時間がわずか8分で、質疑も4分しかないため、質問やコメントがさばききれない可能性があります。そこで、卒論の各発表についても下記のようにScrapboxを用意し、

そこに、みんなで一斉に書き込んでいました。ちなみにこちらがその一例ですが、わずか8分の1つの発表に対して、かなりのコメントが集まっていることがわかります。

100行を超えるコメントが集まっているページもあるなど、かなり盛り上がっていました。また、そこから質問をピックアップし(行頭に?をつけることで彩色し)、Remo Conferenceで質問してもらっていました。

ちなみに、発表と発表の合間が限られているため(8件の発表を時間をかけずに切り替えていく必要があるため)、Scrapboxで面倒な移動が発生すると困ります。終わり次第トップページに戻って、プログラムにアクセスして、そこから発表のページへのリンクを探しアクセスするとかしていると、とても面倒です。ということで、ページの下部にナビゲーション用のリンクを用意し、そこをクリックするだけでアクセスできるようにしました。

こういうナビゲーション、学会でScrpaboxを活用するときにも次の発表のスクボどこだ?と慌てることがあるので、用意したらよいかもなと思ったことでした。

ちなみに、ポスターについても同じようにナビゲーションリンクを付けておき、どんどん次へと移動できるようにしていましたが、(嬉しい悲鳴なのですが)参加者が多く、部屋の上限人数に達しており移動できないことなどもあったので、空いたところに移動するという方法をとっている人が多い感じでした。

で、どうだったのか?

共同研究を一緒にやらせていただいている企業の方や、過去に仕事をご一緒させていただいた企業の方、研究室のOB、合同研究会をやらせていただいている他大学の研究室の学生さん、また研究室選びで悩む学生さんなどが参加してくれていたのですが(合計67名の参加者、企業の方が18名、OBが8名参加)、私が一人で部屋にいると色々な人が挨拶しに来てくれたり、また私も色々と挨拶に伺い、話をすることができるなど、とても良い感じでした。

また、アンケートフォームも用意しておき、最後にアンケートをお願いしていましたのですが、そのアンケートへのフィードバックを見る限り、かなり満足度は高かったようでした。


ということで、口頭発表+ポスター発表が混在した最終成果報告会(卒論発表会+進捗発表会)をRemo Conference+Scrapboxで実施した記録でした。学生さんたちが発表を頑張っていたこと、また参加された方々が協力してくれ、場を盛りあげてくれたこともあったと思いますが、とても良かったように思います。


まぁ、私の契約しているRemo Conferenceが4時間半上限なので、そこの時間的な縛りが大きかったこと(URL変更は避けたかった)、質問で人を呼ぶのが操作が必要なのでちょっと面倒だったこと、最後に全員の顔を見るということができないことが寂しくはありましたが、それは仕方ないでしょうね。

来年度は、対面でできることを祈りつつも、特に口頭発表についてはオンラインとのハイブリッドはありかもなと思ったことでした。

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