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[研究室運営] 質問のハードルを下げるには?

どの先生に伺っても、重要だという認識だけれど、なかなか学生さんたちはやってくれないもので、どうしたものかと思案している方が多い「学生さんがなかなか質問してくれない問題」。学生さんからすると質問しにくい理由にも色々とあるので(先輩に対してこんなこと聞くのははばかれるとか、知らないのは自分だけでは?とか、理解できていないと呆れられるのでは?とか、恥ずかしいなどなど)、なかなか難しいものだなとも思います。

ちなみに、何もしなくても学生さんは質問するよとおっしゃる先生もいらっしゃるのですが、今までそんな経験はないので、その先生方は何か特殊な魔法をかけてるんだろなと勝手に思ってます(それか私が下手すぎるだけか)。

質問のハードルを下げる方法として、教員が率先してくだらない質問をしてハードルを下げるというのはあるのですが、今までの経験上、複数の先生が補完し合うように振る舞わないとなかなかうまくいきませんし、そのくだらない質問の塩梅も難しいですし、先生がまずはくだらない質問をするというものがいつのまにか「先生がまずは質問する」という認識に変容してしまい余計に質問が出にくくなったりなど難しいものだなと思います。

質問を義務化する方法もあるのですが、人数が多いとなかなか質問が出ずゼミやミーティングが停滞してしまうなど時間に余裕がないと厳しかったり、担当質問者を割り当てたらそれ以外のひとは聞いていなくて狙いと違ってしまったりと、こちらもなかなか難しいなと思っています(両方失敗の経験あり)。

ペアプレゼン質疑などで質問者を自身だけにする

今のところ私としては答えがないものではあるのですが、研究室でやっているのは、まずは当事者にならざるを得ない状況を作るというもので、1対1のペアプレゼン質疑をやってもらっています。

このペアプレゼン質疑、2人1組でペアになり、一方が5分プレゼンし、もう一方がそれに対して5分質問するというもので、これをペアを変えながらひたすら繰り返していきます。聞いているのは自分だけなので自分が質問しなければただ時間が過ぎるので、みんな何とか質問をひねくりだしています。また、先輩後輩のペアで何度もやるので、先輩だからというハードルも下がっていきます。さらに、聞いてる人は自分だけなので、仮にその説明でわかっていない人が自分だけだったとしても、その場でのわかってない率は100%になるので、こんなことを質問してもいいのか?という障壁も一応排除できているように思います。ついでに、2人しかいないので恥ずかしいという思いをすることもないようで、結構活発に質疑がなされているように思います。

他にも、合同研究会を実施して促したり、先輩後輩で少人数グループを編成してグループミーティングをやることで意見を出し合ったり、論文のペアリーディングをして2人で議論したりと、色々やっていたりします。

Scrapbox上で勝手に質問フラグを立て背中を押す

ただこれだけやっても、やはりゼミの場などでは人がたくさんいますので自分が質問しなくても…という感じになってしまいますので、他にもうひとつやっているのが、Scrapbox上で勝手に質問フラグを立てるという方法です。

中村研では、何らかの発表(論文紹介や進捗発表、発表練習など)に対してScrapbox上にページを作成し、各自が識別可能なアイコンや名前の一部を書き、そこに思ったことや疑問点などをどんどん書きこんでいくというスタイルをとっています。

Scrapbox上の各ページに自分のアイコンなどをまず書き入れ、そこから思ったことなどを書き込んでいく

この、それぞれの人の書き込みに対して、勝手にほかの人がその書き込みの冒頭に「?」を付けることで質問フラグを立て(?とスペースを冒頭につけると色が変わるため。なお、自分でフラグを付けてもよい)、座長がその質問フラグがついているひとを順次当てていくというものになります。

? を冒頭につけると質問フラグとなる

新入生などは、最初は慣れないことに「えっ?」と動揺するのですが、そこに書き込んだものを読み上げればいいわけなので、そこまで質問に対するハードルは高くありません。また、自分じゃない誰かが質問フラグを付けているわけなので、そのフラグを付けた人が良いと判断してくれた自分には責任のないものなので、気軽に質問できるというものとなっています。あと、聞きたいことがあったときに、その他人の書き込みに質問フラグを付けるだけで聞いてもらえるというのもよいことです(私もよくやっています)。

また、こんなことでも聞いていいんだとだんだんなっていくので、徐々に質問することに対するハードルは下がっていくように思います。修士のゼミでは全員が質問必須なのですが、みんないろんな意見を出してくれますし、個々のグループで構成されるミーティングでも、後輩を引っ張っていろいろと意見をしてくれてます。

ということで、中村研でやっている質問のハードルを下げるための施策でした。ほかの研究室ではどんな魔法を使ってみんなが積極的に質問をするようになっているのかは気になるところですが、うちではこんな感じで色々手を打つことでなんとかやっています。

それはさておき、ぜひ、その魔法を教えて下さい!!

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