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2024年2月の記事一覧

AIイラスト×700字の物語|迷路と迷宮、アリアドネの糸

AIイラスト×700字の物語|迷路と迷宮、アリアドネの糸

迷路と迷宮は、全く異なる概念である。

迷路は、枝分かれした通路により入った者を惑わせ、入口と出口は別になっている。

一方、迷宮とは、一本道が渦を巻くように続き最深部へと至る。出口はなく、出るには引き返すしかない。

ギリシャ神話に登場する、ミノタウロスを打ち倒した英雄テセウスは、糸を使い迷宮から脱出したと云う。しかし迷宮の性質から、道しるべとして糸を用いたのではない。
迷宮は、迷うことがない一

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AIイラスト×500文字の物語|常世石

AIイラスト×500文字の物語|常世石

皆様は『常世石』をご存知でしょうか。

虹色に輝くその鉱石は、地球がまだ火の玉のように熱く燃えていた38億年以上前、冥王代と呼ばれる時代から数十億年の歳月をかけゆっくりと冷え固まりできました。

一説には、常世石の素は地球誕生よりもはるか昔、宇宙が誕生した時の高エネルギーの渦中で出来たとも言われています。そのことから"常世"の名を与えられているのです。

この鉱石を加えて鍛造された剣は、切れぬ物は

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AIイラスト×700文字の物語|5つの魂~①赤の魂~

AIイラスト×700文字の物語|5つの魂~①赤の魂~

『魂を5つだよ。持ってくれば、お主の望みを叶えよう』

魔女はそう言った。魂はどこにあるのかと問うと、紫色をした大きな口をにんまりと開いた。

『魂は墓に眠ってるもんだろうよ』

ここから西へ行くと墓所があるという。そこに居る墓守に頼めと。
魂なんて何か分からないけれど、それで大切なものが取り戻せるなら――やらない理由がなかった。

「生きた人間が来る理由。2つ」

墓所に着くと、黒い少女が満月を

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AIイラスト×700文字の物語|魂売りの少女

AIイラスト×700文字の物語|魂売りの少女

【魂売り】:〔名〕己の欲望のために仁義に背き悪事を働く者。転じて、内なる欲を具現させる異能たちの蔑称として使われている。

「相対性理論でさ。時間と空間は相対的って示されたよね〜」

街を見下ろす廃ビルの屋上。その縁に腰掛け〘魂売り〙の少女はまるで幼馴染を相手にするように嬉々と話し始めた。

猫のような瞳の奥で瞳孔は開き、軽い口ぶりとは裏腹にいつ襲い来るか分からない獰猛な気配を放っている。

「絶

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AIイラスト×500字の物語|cross maiden

AIイラスト×500字の物語|cross maiden

ここでない何処か。今でないいつか。
十字架が剣であり神そのものであった日。
剣の泉には精霊の乙女がいました。

「僕に剣を授けてください」「私に刃を」「俺に力をくれ」
老若男女が訪れては剣を抜いていきます。
そのたびに、泉の乙女は彼らに問いかけます。
「何のために剣を持つのですか」

家族、仲間、国、正義、愛。口々に理由を告げ去っていく背中を、乙女は目を伏せてつまらなそうに見届けるのでした。

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