得意な事とそうじゃない事

私は好きな人間以外の生き物が苦手です。
多くの人が家族に迎えているような動物も苦手だし
虫とか植物とかも苦手です。

特に虫が嫌で、蚊とか蜘蛛とかコバエとか、家の中で発見したなら
抹殺せずにはいられません。完全に居なくなったとならないと嫌なのです。
昔住んでたアパートで、エアコンの外に出たホースを取り付けている穴の
その周りをふさいでいた物が劣化して出来た隙間からゴキブリが侵入した事がありました。
部屋中に殺虫剤を撒き散らし、なんとか退治するも、そのあと続いて再侵入され
再度殺虫剤を撒き散らし、もうそれだけで自分が死んじゃいそうなほど
退治はしたものの、また侵入されるんじゃ？とノイローゼになりそうな夜がありました。
一晩に3匹のゴキブリを退治するなんて経験あります？
一度ある事は二度あるなんて言うけど、三度あったんです！
三度あったら、もうこの調子でどんどん侵入されるんじゃ！って
寝てる間に顔の上とかに乗ってきたらとか、恐ろしい想像をして眠れませんでした。

そんな私なので、虫が付きそうな事はなるべくしたくない！ってわけで
部屋に花を飾る事も、植物を置く事もなく過ごしてきたのですが
食べる事に関しては、何よりも情熱を注げる私なので、採れたてのハーブが
好きな時に使えるというのはイイなとは、前々から思ってはいたのですが
外でお世話をしなきゃも嫌だし、土いじりも嫌だし、虫なんて出たら本当に嫌だなと
市販の少量のくせにちょっと値が張るハーブを、しょうがないと思い続けて使っていた所に
キッチンで育てられるハーブというのを見つけて、やってみる事にしました。

キットの説明書に書かれた通り、種をまき、霧吹きで水をあげ、袋をかぶせて発芽を待つと
1週間ほどで可愛い双葉がいくつも出てきたので、なかなか簡単だなと
私でも出来るんだなと思っていたのですが、説明書の次の工程では
1ヶ月後にはこうなっていますという、もっと大きく成長した葉っぱが写っており
そうなるまでの工程には水を『適宜』与えるだけとしか書いていなかったのに
その適宜がどれほどなのかわからずだったせいで、水のあげ過ぎだったのか？
１つ、また１つと、次々に可愛い双葉が倒れ、しなしなになり、最後は全滅で土に返っていきました。

そのキットを購入したお店の方が親切で、こうなってしまったことを相談すると
同じキットはまだまだ使えるので、再度種蒔きから挑戦してみて下さい！と種を分けてくれました。

アドバイスとして、もう少し光の多い、風通しのイイ場所でとの事だったので
言われた通りに進め、発芽して、双葉がいくつも出てきたところまでは順調でしたが
やはり1ヶ月もする頃には、説明書のような状態にはならず、前回同様に土に返っていきました。

好きでもない事をやってみるってこういう事かと、すっかり自信を無くしていたら
植物を育てるのが好きで、そういうのが得意な友達から
『種からは難しいから、苗を買ってみては？』と勧められました。

今までこういう事に全く興味を持ってこなかったので
そんなものが購入出来る事すら知らなかったし、いざ買いにホームセンターに行っても
行き慣れたホームセンターで、その売り場を自力で探す事すらできず、店員さんに聞いてしまいました。

苗というのがこんなに安く買える事も知らなかったし、買ってきたその日から使えるなんて！と感動しました。
安かろう悪かろうでは？と、早速摘みたてのハーブを食べてみると、ちゃんと美味しい！
しかしこれを継続して楽しめるんだろうか？またダメにしてしまうのでは？
と心配していた私は、得意な友達に今後について相談してみました。
『もしダメになったら、捨てちゃえばイイし、また買ってくればイイ！』
そんな簡単な一言が返ってきて拍子抜け。えっ？そんなんでイイの？

知らないというのはもったいないなと、心を改め、苗のお世話を始めたのですが
やはり前回の失敗から、水やりの『適宜』についてを考えています。
わりと得意な料理については、レシピの中で出てくる『適宜』を
感覚的にテキトーにやったらイイじゃん！と思っていたし、そのくらいわかるでしょ？くらいに思っていたけど
得意じゃない事に関しては、何が『適宜』なのかがわからない。
料理が得意じゃない人が、私のわかる感覚をわからないのも納得。
こういう事かと勉強になりました。