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【400字小説】性癖不足

足の甲を踏んでほしいという性癖。
行為の最中は、そういう気持ちにならないけれど、
終わった途端、無性に踏んでほしいと思っちゃうんだよね。

歴代の彼氏はベッドから出て、
立ったわたしの足の甲を裸足のそれで
踏んでくれる人たちばかりだった、やさしみ。

でも、オーノくんはしてくれない。
彼の性癖は終わった後、そのまま寝落ちすることで、
果てるとスイッチが入ったかのようにカチッと眠り出す。
寝顔を見てかわいいと思うけれど、
物足りないなとも感じるのは本音かなあ。

足を踏む行為はやさしさだし、
これまで付き合ってきた男の人たちと比べたら、
性的満足を感じられない、オーノくんと。
でも、やさしさというものは一種類ではなくて、
多種類のやさしみを持ち得ているのは
オーノ君だったりする。

きっと結婚するんだろうなあ。
幸せになれるし、幸せにしてもらえそう。
でも、わたしの変わった性癖は治らないだろうから、
満たしてくれる人を探さない自信はないんだ。

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