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【なかがわよしのの61曲カヴァー企画】「To Zion」ローリン・ヒル

放課後に黒板を消していたらエツシがひとりで戻ってきた。ハルナは驚いて、手を止めてしまう。「今日の日直、近田さんだけ?」ハルナは「ううん、村山くんもだよ」と言うのが精一杯で、息継ぎがうまく出来ない。それでいてエツシが日直の手伝いをしてくれることを期待した。

しかし、自席の引き出しから何かを取り出すと「悪いけど、サヨナラ」と言って教室を出て行こうとする。手伝ってよ、と言う図々しさをハルナは持っていない。代わりに「何、取りに来たの?」と、やっと。

「ああ、英語のプリント。《LOVE》の綴り間違えちゃって、これから高本先生と特訓すんだわ」

高本はまだ20代前半の美女だ。それで嫉妬してハルナは「わざと間違えたんでしょ」とエツシを茶化すフリ。

「愛の意味もわからないはずだろ、俺ら若いんだぜ」

冗談なのか、照れ隠しなのかわからなかった。すると「待ってるから一緒に帰ってよ」とハルナは気づいたら言ってた。闘争心に火がついたのか。

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https://open.spotify.com/playlist/5rB5QR6w01DrYgGc8klsln?si=LIeuWnfoTW2zE-il6s7jDQ

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