【書評】最高の結果を出すKPIマネジメント
中尾 隆一郎
フォレスト出版
2018/07/02
KPIという言葉。なんとなく知っていて、なんとなく理解はして、なんとなく使ってはいます。もちろん何の略語かも知っています。Key Performance Indicator ですね。日本語では重要業績評価指標と訳されます。ただこの「なんとなく」が厄介で、時に足を引っ張ったり、誤認を引き起こしたり、手戻りを発生させたりします。そのことを知っているつもりなので、時に説明可能なほどの理解がないと自覚した時には、しっかりと知識補充をするようにしています。
今回のきっかけはデータ可視化関連の書籍を読んでいたこと。そして、上司に我々営業メンバーのミッションを踏まえたKPIを考え、データを取得し、計測し、改善すべきだと提言したこと。さらに、「その通りだね。メンバーに声がけして議論するから、企画して。」と言われたことです。これは動いた方でないと知らないことですが、提案を評価することと、提案して説明することは大きく異なります。提案者は被提案者からの質問・疑問に答える義務があり、応えられなければ提案はおろか自身の評価を下げるプレッシャーにさらされ、常に相手を上回る知識と経験を持っていなければいけないのです。特にこれまでに事例が無いような新規の取り組みや、他人の負荷や協力を得なければいけないことは、更に強くこの作用が起きます。上司の同意を取り付けて任される流れは目論見通りですが、改めてメンバー全員に説明可能なレベルに(すぐに)至らなければいけないということで、AmazonさんとKindleさんの力を借りることにしました。両方Amazonか。すごいなベゾス。
著者はリクルート出身の起業家。あごひげがスタートアップ+経営者のうさん臭さを引き立てております。章立ては基礎知識、KPIマネジメント実践のコツ、実践前に知ってほしいこと、事例、KPIを作ってみようの5本です。勘で選んだ割に早速クリティカルに欲しい内容が乗っていて、とってもラッキーでした。過去酒好きで1人で飲み歩いていた時代、店の佇まいでうまい店かどうかわかる、あの感じですかね。良い本がわかるようになってきたのでしょうか。
その特に欲しい情報というのが、基礎の一部と最終章にある「どうやってイケてるKPIを作ればよいのか?」です。営業のKPIでしょ?売上額とか利益額とか、そんなんじゃねーの?と思うかもしれません。そうなんですが、そんなもんほっといても会社が勝手に管理してくれています。わざわざ企画して議論しようなんてことになりません。私の所属する課は営業の中でも、社内的には少し特殊なミッションを持っており、数字以外に高度化と新規ビジネス創出みたいな雰囲気を持っています。上司に良くないと伝えたのが、「みたいな雰囲気」です。要するに言語化されておらず、公式に与えられておらず、管理されていません。なので、高度化も新規ビジネス創出もやっていないけど、数字ができている人は評価され、高度で新規のビジネスをやっていても、数字が伸び悩むと評価されません。もっと言えば、高度化や新規ビジネスもどれだけ取り組み、実現化し、成果となっているかも可視化されておらず、どうすればそのミッションの成果につながるかの分析もできていないわけです。なので無いKPIは作らなければならず、準じてデータを集めて測定しなければいけません。
あとはKPIについて理解が進んだのが、CSFとKGIとの関係性です。まぁKGIはわかりやすいのですが、CSFとかKFSとかっていうのが何が違うんじゃいと思っていました。KPIとの関係性もわかりやすく説明してくれており、イケてるKPI検討プロセスも得ることができました。企画書に落とし込んで議論のファシリをちゃんとやるのと、しっかりとミッションの明確化・言語化、CSF・KGI・KPIの定義、そして何よりこの本でいうPDDSを回して、継続的な見直しと改善を実践で組織をよくする方向につなげていければと思います。最近データ関連に頻度高く触れているからか、可視化・定量化できないことに気持ち悪くなる感覚が出てきました。良い傾向だな。