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実用新案法40条 訴訟との関係


 本条は、無効審判と、侵害訴訟が同時に行われた場合における、特許庁と裁判所の協力について規定しています。

 実用新案権の侵害訴訟や、無効審決の審決取消訴訟などが行われている間、つまり、訴訟手続完結前や、審決確定までは、審判手続きを中止することができます(実40条1項)。

 しかし、特許庁側では、侵害訴訟が提起されたことを知ることができません。そこで、裁判所は、侵害訴訟が提起されたこと、及び、侵害訴訟の手続完結を、特許庁長官に通知します(実40条3項)。

 特許庁側では、侵害訴訟提起等の通知を受けると、実用新案権に関する審判の有無を裁判所に通知します(実40条4項)。実用新案無効審判が請求されている場合、実用新案権が無効になると、実用新案権侵害も成立しなくなるからです。

 裁判所側は、侵害訴訟において特許法104条の3の抗弁がなされると、その旨を特許庁に通知します(実40条5項)。特許庁は、侵害訴訟において特許法104条の3の抗弁がなされた通知を受けると、無効審判で参考にできる資料を、裁判所に請求できます(実40条6項)。

・実用新案法40条

(訴訟との関係)
第四十条 審判において必要があると認めるときは、他の審判の審決が確定し、又は訴訟手続が完結するまでその手続を中止することができる。
2 訴えの提起又は仮差押命令若しくは仮処分命令の申立てがあつた場合において、必要があると認めるときは、裁判所は、審決が確定するまでその訴訟手続を中止することができる。
3 裁判所は、実用新案権又は専用実施権の侵害に関する訴えの提起があつたときは、その旨を特許庁長官に通知するものとする。その訴訟手続が完結したときも、また同様とする。
4 特許庁長官は、前項に規定する通知を受けたときは、その実用新案権についての審判の請求の有無を裁判所に通知するものとする。その審判の請求書の却下の決定、審決又は請求の取下げがあつたときも、また同様とする。
5 裁判所は、前項の規定によりその実用新案権についての審判の請求があつた旨の通知を受けた場合において、当該訴訟において第三十条において準用する特許法第百四条の三第一項の規定による攻撃又は防御の方法を記載した書面がその通知前に既に提出され、又はその通知後に最初に提出されたときは、その旨を特許庁長官に通知するものとする。
6 特許庁長官は、前項に規定する通知を受けたときは、裁判所に対し、当該訴訟の訴訟記録のうちその審判において審判官が必要と認める書面の写しの送付を求めることができる。

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