見出し画像

(~’21/09/26)意匠法14条 秘密意匠

 秘密意匠制度は、登録された意匠の内容を、一定期間秘密にできる制度です。

 登録意匠は意匠公報に掲載されて公開されるのが原則です。しかし、登録意匠が公開されると、出願人の将来の製品開発動向等を競業者に知られるおそれがあります。
 ここで、技術の累積的進歩を前提とする発明を保護する特許法では、特許権の内容を秘密にすることは許されません。しかし、しかし、意匠法の保護対象は物品の美的外観であり、累積的進歩が少ないといえます。
したがって、意匠法では、特許法等とは異なり、秘密意匠制度が例外的に認められています

 秘密にする請求は、出願と同時か、第1年分の登録料の納付と同時に行います。手数料が必要です。

 秘密にする期間は、設定登録日より3年以内の期間で、関連意匠も秘密にできます。また、秘密にする期間は、事後的に増減させることができます。

 秘密の請求がなされると、書誌的事項を除き公報掲載がなされまず、指定期間経過後に公報掲載されます(意20条4項)。

 秘密期間中の登録意匠に基づいた権利行使には、(i)差止請求権行使前の警告が必須(意37条3項)、(ii)過失推定の適用なし(意40条)、という制限があります。

 ただし、秘密期間中であっても、(i)意匠権者の承諾がある場合(意20条4項1号)、(ii)審査等の当事者又は参加人からの請求がある場合(意20条4項2号)、(iii)裁判所からの請求があった場合(意20条4項3号)、(iv)警告等を受けた利害関係人が、権利者の氏名、登録番号を記載した書面、利害関係人であることを証明する書面を特許庁長官に提出して請求した場合(意20条4項4号)、には請求人に秘密意匠が開示されます。


・意匠法14条

(秘密意匠)
第十四条 意匠登録出願人は、意匠権の設定の登録の日から三年以内の期間を指定して、その期間その意匠を秘密にすることを請求することができる。
2 前項の規定による請求をしようとする者は、次に掲げる事項を記載した書面を意匠登録出願と同時に、又は第四十二条第一項の規定による第一年分の登録料の納付と同時に特許庁長官に提出しなければならない。
一 意匠登録出願人の氏名又は名称及び住所又は居所
二 秘密にすることを請求する期間
3 意匠登録出願人又は意匠権者は、第一項の規定により秘密にすることを請求した期間を延長し又は短縮することを請求することができる。
4 特許庁長官は、次の各号の一に該当するときは、第一項の規定により秘密にすることを請求した意匠を意匠権者以外の者に示さなければならない。
一 意匠権者の承諾を得たとき。
二 その意匠又はその意匠と同一若しくは類似の意匠に関する審査、審判、再審又は訴訟の当事者又は参加人から請求があつたとき。
三 裁判所から請求があつたとき。
四 利害関係人が意匠権者の氏名又は名称及び登録番号を記載した書面その他経済産業省令で定める書面を特許庁長官に提出して請求したとき。


#弁理士
#弁理士試験
#弁理士試験の受験勉強
#意匠法
#知財
#知財法

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?