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実用新案法12条 実用新案技術評価の請求

 本条の「実用新案技術評価の請求」は、実用新案法独自の規定であり、特許法等の他の法域にはありません。

 実用新案技術評価は、登録された実用新案権が実体的要件を満たしているか否かを当事者が判断するのが困難な場合も考えられるので、当事者に権利の有効性に関する客観的な判断材料を提供することを目的に行われています。
 このため、実用新案技術評価で悪い評価が出たとしても、直接的に、実用新案権が無効になるわけではありません。また、実用新案技術評価は、行政処分ではないので、否定的な結果が出たとしても、行政不服審査法等による申し立てはできません。

 実用新案技術評価は請求項ごとに請求することができます。2以上の請求項を有する実用新案登権は、請求項ごとに実用新案権があるものとみなされます。このため、一部の請求項が無効になった後であっても、無効になっていない請求項があれば、実用新案技術評価の請求は可能です。

 実用新案技術評価では、公知文献から見た権利の有効性が判断されます。言い換えれば、実用新案技術評価で評価されるのは、公知文献に基づいた新規性、進歩性、拡大先願、先後願関係、です。

 なお、国際実用新案登録出願の場合、国内処理基準時経過に請求できます。 


・実用新案法12条

(実用新案技術評価の請求)
第十二条 実用新案登録出願又は実用新案登録については、何人も、特許庁長官に、その実用新案登録出願に係る考案又は登録実用新案に関する技術的な評価であつて、第三条第一項第三号及び第二項(同号に掲げる考案に係るものに限る。)、第三条の二並びに第七条第一項から第三項まで及び第六項の規定に係るもの(以下「実用新案技術評価」という。)を請求することができる。この場合において、二以上の請求項に係る実用新案登録出願又は実用新案登録については、請求項ごとに請求することができる。
2 前項の規定による請求は、実用新案権の消滅後においても、することができる。ただし、実用新案登録無効審判により無効にされた後は、この限りでない。
3 前二項の規定にかかわらず、第一項の規定による請求は、その実用新案登録に基づいて特許法第四十六条の二第一項の規定による特許出願がされた後は、することができない。
4 特許庁長官は、第一項の規定による請求があつたときは、審査官にその請求に係る実用新案技術評価の報告書(以下「実用新案技術評価書」という。)を作成させなければならない。
5 特許法第四十七条第二項の規定は、実用新案技術評価書の作成に準用する。
6 第一項の規定による請求は、取り下げることができない。
7 実用新案登録出願人又は実用新案権者でない者から第一項の規定による請求があつた後に、その請求に係る実用新案登録(実用新案登録出願について同項の規定による請求があつた場合におけるその実用新案登録出願に係る実用新案登録を含む。)に基づいて特許法第四十六条の二第一項の規定による特許出願がされたときは、その請求は、されなかつたものとみなす。この場合において、特許庁長官は、その旨を請求人に通知しなければならない。

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