見出し画像

特許法68条 並行輸入

 並行輸入の問題が出るかは分かりませんが、並行輸入でとり上げられることの多いBBS事件について記載します。(最高裁H09/07/01)。ポイントは、国内消尽:肯定、国際消尽:否定、黙示的許諾:肯定、の3段階です。


 一般的には、並行輸入品の方が、国内メーカー正規品よりも安いことが多いです。ユーザの立場から見ると、偽物ではない真正品であれば、安い方が良いと考えても不思議ではありません。そこで、日本と外国の両方で特許権を確保しておくことで、並行輸入を防止することになります。
 ここで、特許権が確保された国から日本に製品を輸入した場合に、国際消尽が問題になります。BBSでは、国際消尽は否定しましたが、所定の留保を付さない場合の黙示的許諾を肯定することで、原則として並行輸入品は特許権侵害を構成しないことを示しました

●国内消尽からの説明全て
 並行輸入の問題は例えば、TRIPS協定では扱うことがなく(TRIPS6条)、各国の特許法の解釈の問題と考えられている。パリ条約における、特許独立の原則(パリ4条の2)は、特許権自体の存立が、他国の特許権の無効、消滅、存続期間等により影響を受けないということを定めるものである。したがって、並行輸入に関する特許権の行使の可否の判断は、属地主義の前提に基づきわが国の特許法の問題である。ここで、わが国の特許法では国際消尽は否定されている。
 現代社会において国際経済取引が極めて広範囲かつ高度に進展しつつある状況に照らせば、特許製品を国外において譲渡した場合に、その後に当該製品がわが国に輸入されることは当然に予想される。したがって、特許権者または特許権者と同視し得る者が留保を付さないまま特許製品を国外において譲渡した場合には、譲受人およびその後の転得者に対して、わが国において譲渡人の有する特許権者の制限を受けないで当該製品を支配する権利を黙示的に授与したものと解すべきである。
 ここで留保とは、
 (1)譲受人に対して
  当該製品について、販売先ないし使用地域からわが国を除外する旨の合意をした場合
 (2)転得者に対して
  譲受人との間で上記合意をした上、特許製品にこれを明確に表示した場合
 である。

・品質が同一であって並行輸入と考えられるとしても、契約違反して製造等した場合は真正品とはいえない。特許権者または特許権者と同視し得る者が譲渡等したものとはいえないからである。そのため、特許権侵害を構成する

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?