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(~'21/11/11)特許法121条 拒絶査定不服審判

 さて、拒絶査定不服審判からは、短答式試験にもよく出題される分野であり、実務でも結構使う規定になります。

 拒絶査定不服審判は、簡単に言うと、審査官が間違って拒絶査定した場合の出願人の救済のために設けられています。

 詳しく書くと、拒絶査定不服審判は、拒絶査定の妥当性について審理判断し、審査に対する続審としての性格を有する準司法的行政手続です(121条1項)。
 特許法は真に保護に値する発明のみを保護するため審査主義(47条)を採用し、審査の適正を図るべく出願人に意見書、補正書提出の機会を与え(50条、17条の2等)、そのうえで特許要件を満たさない出願を拒絶します(49条)。しかし、審査官の過誤により瑕疵ある拒絶査定がなされた場合に、何ら不服申し立ての途を与えなければ特許法の趣旨(1条)に反することとなります。また、特許出願に対する処分は行政処分であるため、本来は行政不服審査法、行政事件訴訟法が適用されます。しかし、事件が専門的、技術的であるため、一般原則を適用するのは妥当でないという事情から、特許法は、行政不服審査法の特則として審判官の合議体によって審理する拒絶査定不服審判を規定しています。

・請求人は、拒絶査定を受けた特許出願人であり(121条1項)、共同出願の場合は、全員で請求しなければなりません(132条3項)。拒絶査定不服審判は、固有必要的共同訴訟と解され、審決は合一にのみ確定すべきだからです。

・原査定において進歩性がないとして拒絶した出願を、審判官が審判では新規性を否認して拒絶するのが適当と判断した場合、基本的には拒絶理由通知がなされます。
 しかし、出願人が新規性についても意見を述べる等の対応をしていることが明白な場合は、あらためて拒絶理由を通知しないで審決される場合もあります。


・拒絶査定不服審判の請求人は、補正の機会を与えることなく拒絶審決がなされたことを手続上の瑕疵と審決取消訴訟で主張できます。

・特許法121条

第六章 審判
(拒絶査定不服審判)
第百二十一条 拒絶をすべき旨の査定を受けた者は、その査定に不服があるときは、その査定の謄本の送達があつた日から三月以内に拒絶査定不服審判を請求することができる。
2 拒絶査定不服審判を請求する者がその責めに帰することができない理由により前項に規定する期間内にその請求をすることができないときは、同項の規定にかかわらず、その理由がなくなつた日から十四日(在外者にあつては、二月)以内でその期間の経過後六月以内にその請求をすることができる。

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