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これだけは知っておきたいギリシャ指標2

前回はSBI証券アプリでのギリシャ指標の表示や設定について書きました。

今回はいよいよ4つの指標を個別に書いていきますが、まずは「デルタ」と「ガンマ」についてです。

デルタの基本

デルタは1番直感的な指標で、ゆえに一番重要視される指標です。
日経平均がいくら増減したら、オプションプレミアムがいくら増減するかを表しています。

例えば、明日日経平均が200円上昇したら、このCALLオプションはいったいいくらまで上昇するんだろう・・という時に最も大きく直感的に影響する指標ということですね。

例えばC24500が「デルタ:0.2028」だったとしましょう。
この時日経平均が100円上昇したとします。
そうすると、変動幅100円*0.2028=20.3円 すなわちプレミアムが約20円上昇するということです。

なので、C24500のプレミアムが120円でデルタ0.2028ならば、ここから日経平均が100円上昇したら、C24500は120円+20円で140円まで上がるよという試算になるわけです。

逆にPUTの場合、日経平均が下がればプレミアムが増加するわけですから、デルタはマイナスの値になります。

例えばP22000のプレミアムが120円で「デルタ:-0.1438」だとしましょう。
ここで日経平均が100円下落した場合、-100*-0.1438=14.4円。
つまり、P22500は120円+14円で約135円になるということです。
※100円以上のプレミアムは5円刻みなので

デルタの特徴

ギリシャ指標3

デルタは、アウト・オブ・ザ・マネー(OTM)で遠くに行けばいくほどゼロに近くなり、イン・ザ・マネー(ITM)が深くなればなるほど1に近づきます。

何となく肌感覚でイメージできますよね。
遠く離れたファーのOTMならば、日経平均が100円動いてもプレミアムは数円しか変動しないけど、ATMに近いところならば一気に40円、50円と動いてきますよね。

当然、行使価格に近づけば近づくほどITMに近づくわけで、オプションの期待値が上がることでプレミアムが跳ね上がります。この跳ね上がり方を表すのがデルタというわけです。

そしてアット・ザ・マネー(ATM)ではデルタは0.5に近づきます。

つまり、デルタ:0.1の時に日経平均が100円動いても、オプション価格は10円しか変動しませんが、デルタ:1.0の時はそのまま100円動きます。
オプションの10円は実際は1万円、100円は10万円となりますよね。

日経平均が100円動いて1万円の損ないし得となる・・これって先物ミニと同じですよね?
一方で日経平均が100円動いて10万円の損ないし得となる・・これはまさに先物ラージです。

そうです。
デルタ0.1付近のオプションを取引するということは、変動リスクで言えば先物ミニと同等ということです。そして、ITMのプレミアムが300円、400円というところを取引するということは、デルタが0.6とか0.7といったところであり、先物ミニ6枚7枚の取引をしているのと同等ということになります。

証拠金や手数料が変わるとは言え、同じ商品で価値とリスクが大きく異なるというのがオプションの面白さであり、そして危険なところなんですね。

例えば、2020年5月以降のコロ助暴落の戻り上昇相場で、デルタが0.05以下のファーCALLを数円で買ったら、そこから爆上げでデルタが0.8近くなったことは記憶に新しいですね。

先物ミニ0.5枚くらいの感覚で買っていたら、気がついたら先物ラージ1枚持っていたみたいな価値に変わったわけですが、こういうことが起こるのはデルタの値が跳ね上がったからですね。

デルタの値を確認するということは、自分が今先物ミニ何枚分のリスクを取っているのかを理解することでもあるというわけです。

・日経平均がいくら動いたら、このオプション価格はざっくりどのくらい動くのか
・自分は今、先物ベースで上昇か下落か、どちらにどの程度リスクを取っているのか

デルタを意識できるようになると、こういうことが自身で理解できてくるわけですね。

既に書いた「先物+カバード戦略」のような反対売買でヘッジする戦略では、まさにこのデルタをヘッジする(ゼロに近づける)ことが肝になってきますので、このデルタの特徴をしっかりと身につけることは重要なんですね。

ガンマの基本

さあ、問題はガンマとベガがイマイチよく分からん人たち・・ということなんですねw

前回、
ガンマ:デルタの変動率によるオプション価格の変動率
と書きました。

正確には「デルタの変動率」がガンマだということなのですが、要はデルタの値の変化は一定ではなくて、様々な状況において大きく動いたり小さく動いたりするよってことなんですよね。

例えば今デルタが0.3だとしても、明日0.32になるか0.35になるかは別の係数に支配されているということでして、それがガンマだと思えばいいと思います。

上で「デルタは日経平均の変動幅からプレミアムの変動幅を出す係数」だと理解しましたよね?
そして、ガンマはその「デルタの変動幅を決める係数」ですから、ガンマによってもプレミアムの変動幅が変わるというわけです。

ガンマが大きい→デルタも大きく動く→結果、オプションプレミアムも大きく動く

というように、風が吹けば桶屋が儲かる・・・みたいな話ですw

ですので、デルタと違ってガンマは必ずプラスの値を取ります。

ガンマの特徴

ギリシャ指標4

ガンマを意識した戦略はかなり上級レベルでして、当面考えなくていいと思います。
というか、通常はデルタヘッジと一緒に使われるので、デルタヘッジを勉強していく段階で思い出せばいいでしょう。
ただ、以下の特徴は早い段階で頭の隅っこにでも入れておくといいと思います。

すなわちガンマとは、
・ATMで最大となる
・ファーのOTM、ディープなITMのようにATMから離れるほど数値は小さくなる
・常にプラスで、0から1の間の値を取る

という点ですね。

ATMでガンマが最大になるということは、ATMでデルタの変動率が最も大きくなるということです。
ATMではデルタの値は0.5に近づくので、0.5を境に上下にデルタの値の変動が大きいということを意味しています。


今回デルタとガンマをご紹介しましたが、よく例にされるのが
・デルタは「速度」
・ガンマは「加速度」

ということなんですね。

え? 逆に分からない?w

まあ、実際に4つの指標を使ってオプションプレミアムの価格変動を計算する段階で何となく見えてくると思いますので、今は何となくこのような理解で大丈夫です。

というわけで、次回は「ベガ」と「セータ」について説明したいと思います。


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