時が解決しないことだってある
その昔、NHK-FMで「FMホットライン」という情報番組をやっていた。確か、日曜の夜10時からの番組で、青い時代のワタクシが、週末の夜に頭を使って息抜きをしていた。
何度か投書(今と違って、郵便と電話しか放送番組との接点はなかった)した結果、番組パーソナリティのサインを2枚も戴けた。
断捨離していたときにそのサインを見つけ、ワタクシのコラージュの壁に貼っている。
同世代の洋楽好きな方ならわかっていただけると思うが、ワタクシは渋谷陽一教の信者だった。長いこと。あ、今でも好きだよ。
「Rockin' On」は、中学生のときから買っていた。それって、小遣いからのかなりの投資だ。そして、「Rockin' On Japan」が出たら、もちろんそれも定期購入となり、「CUT」が出たら、それも買っていた。
学生時代の自慢は、本と辞書と知識を授けてくれる雑誌には、けちらず金をかけていることだった。
ああ、そういえば、ライター採用のためのRockin’ On社へ提出するレポートを、一生懸命書いたりしていたなあ。あれ、どうしたんだっけ。送ったのかな、やめたのかな。
小山田圭吾氏の件の記事は、「Rockin' On Japan」で読んだ覚えがある。
青い時代のワタクシがあのとき思ったのは、小山田氏が何をしたのかということよりも、
「こういうことを、雑誌に載せてしまうのか…」
ということだった。読んでいて、とても苦しくなったことを覚えている。だって、ワタクシもいじめられていたことがあったから。
たぶん今でもワタクシは渋谷陽一教の信者なのだけれど、あの記事を読んで以来、雑誌の購読をフェイドアウトしていった。
やった方には流せることも、やられた方にとっては死ぬまで忘れられないことだ。「いじめられる方にも問題がある」なんて、都合のよい方便でしかない。
これは、つい2年前にワタクシが仕事を続けられなくなった話とも繋がっていく。
いじめをする奴は、大人になっても中年になっても管理職になっても、そういう奴だ。最後の上司は、まさにそういう奴だった。早いこと忘れたいけれど、すっぱり忘れるにはやられたことがデカすぎる。
時が全てを解決する訳ではないのだ。
「FMホットライン」の思い出には、ちょっとした落ちがある。
ニューヨークの最新情報を伝えるコーナーで、番組に出ていた現地ジャーナリストの方がいた。塚本潔氏だ。確か、こういう漢字だったと思う。間違えていたら申し訳ない。
ワタクシは塚本氏のニューヨークコーナーが大好きだった。
ある日、「FMホットライン」に忌野清志郎氏が出演した。
ワタクシは、
「キヨシくんのサインが欲しい! サインくださーい!」
と、はがきを出した(くどいが、そういう時代だった)。
後日届いたのは、塚本氏のサインが書かれた色紙だった。番組ディレクター氏によるメモがはさまっており、
「塚本氏が帰国した折に、戯言で書いてもらった色紙で、1枚しかありません。貴重です」
と書かれていた。
はい、受け取りました。ありがとうございます。大切に飾っておりました。
でも、ほんとうは忌野清志郎氏のサインが欲しかったんです...
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