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漫画の話『レイド・オン・トーキョー』〜ソ連が攻めてきたぞ!~


さて、漫画の話をしましょう。保険の話なんてつまんないしね。

今日紹介するのは、小林源文(こばやし・もとふみ)の『レイド・オン・トーキョー』です!
小林源文はメジャーなのかそうでないのか非常に悩む漫画家で、まあ漫画詳しい人なら聞いたことはあるだろうし、詳しくないなら知らないんじゃないかな、的な作家です。得意な分野は戦争を描いた劇画……というか、ほぼそれしか描いてないかな?
まあともかく、その小林源文の代表作を一つ挙げろと言われればコレです。では、行ってみましょう。

『レイド・オン・トーキョー』(Kindle版表紙)

あらすじ

199X年。日米友好条約が破棄され、在日米軍が撤退した架空の日本。ある日、日本領空に侵入してきたソ連機により、自衛隊の戦闘機が撃墜される。同時にソ連の艦隊や航空機による侵攻が始まり、自衛隊に大きな損害が出る。電波妨害により指揮系統が寸断されるなか、自衛隊は可能な限りの戦力をかき集め、なんとか反撃に出ようとする。そして、自衛隊は上層部から末端に至るまで、生き残るために必死の努力を迫られる。

主役の一人、統合幕僚長(自衛隊で一番偉い人)

戦争て怖いなあ

この作品の魅力は、リアリティのある戦場描写が全てと言っていいでしょう。特に、戦場での派手な銃撃戦などより、人間ドラマに焦点を当てた構成になっており、その辺りが私がこの漫画が好きな理由の一つでもあります(もちろん銃撃戦や爆発もたくさんある)。群像劇的に何人かのキャラクターに焦点が当たるのですが、どいつもこいつも人間臭くて凄くいいです。ちなみに私が好きなのは、佐藤というキャラです!

主役の一人、佐藤二尉(二尉は少し部下がいる中間管理職)

佐藤は最初は戦争を怖がり、ゲロ吐いたり自殺しようとする繊細な青年なのですが、だんだん戦争に染まり、捕虜の拷問や処刑に手を染めます。

「捕虜からいかなる種類の情報を得るためにも、これに肉体的又は精神的拷問その他の強制を加えてはならない」
『ジュネーブ条約』第三編、第一部、第十七条。

更には停戦したのに勝手に戦闘を続けたり、虐殺したりと、立派(?)に成長していく様は圧巻です!

暗黒面に堕ちた佐藤

もちろん、暗黒面に堕ちるのは佐藤だけではありません。末端の自衛隊員達は、明らかに無抵抗や降伏した捕虜を殺すし、国会議事堂の装飾品を略奪したりします。上層部に至っては、ソ連の要人を暗殺したり、士気を保つために兵に麻薬まで投与します。

それはマズいんじゃ…

この、おそらくほとんどの読者が感情移入するであろう日本側も、真っ白な存在ではない描く事が、この漫画のリアリティを引き上げ、面白くしている点なのは間違い無いでしょう。私は個人的にこういう暗黒面が描かれるの好きなんで、この辺の描写で評価爆上がりしてます!

まとめ

淡々と、冷酷に進んでいく戦争の描写が秀逸な作品です。読み終わると、出来のいい戦争映画を見終わったような、そんな満足感があります!漫画、アニメ、映画等で戦争ものが好きな人にはオススメ出来ます!
余談ですがこの作者、色々な漫画を描いてるんですが、中には割とメジャーなアニメの漫画化も手掛けたりもしてます。例えばこんなアニメ。

『ガールズ&パンツァー』2012年

この『ガールズ&パンツァー』(略してガルパン)は少女達が部活として戦車で戦うというアニメで、見ての通りの萌え系の絵柄と、無骨な戦車との対比が当たったのか、結構なヒットを飛ばしました。
そして、作風がまったく合わないのに、このガルパンの漫画版をこの作者は描いてます!それがこれ。

『劇画ガールズ&パンツァー』2021年

なんというか…悪ノリした同人誌みたいな感じですが、これちゃんと公式が許可した漫画版なんですよね…。内容はまあ、敵前逃亡しようとする部員を銃で脅したりとか、アニメで小柄なロリキャラがデブのおっさんになってたりとかして、なんかもう凄いとしか言いようが無いです。

人が焼け死ぬ劇画ガルパン

興味があれば読んでもいいと思いますが、純粋なアニメのファンが読むのは…どうかな?でも、そもそもアニメのファンじゃないと読まないでしょうし…怖いもの見たさで読むくらいがちょうどいいかもしれません。まあともかく、興味があるなら今すぐKindleで読めます!リードナウ!!

本日の漫画紹介でした!

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