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「ピカソとその時代」展@国立国際美術館

「佐伯祐三」展を堪能した後に、お隣の国立国際美術館で開催されている「ピカソとその時代」展に行きました。
チケットを買ってあったのに、気付いたら来週までという状況に。危ない危ない。
もうすぐ終わってしまうためか、「佐伯祐三」展よりも混雑していました。

https://www.nmao.go.jp/events/event/20230204_berg/

ちなみに、ほとんどの作品は写真撮影OKでした。

全体的な感想

「佐伯祐三」展の後に見たので、どうしても比較が入ってしまいますが、予想の通り色彩のインパクトが強い!
今回のメインとなる作品は、タイトルにもなっているピカソと、クレーそしてマティスでした。それに加えてセザンヌ、ブラック、ジャコメッティの作品もありました。
ですので、セザンヌの繊細な色合いにノックアウトされてから、クレーの可愛らしい色に癒され、マティスの力強い色がガツンと来るという感じでした。

ピカソは、個人的に色彩の人というよりも、発想の人というイメージなのですが、よくもまあ、次から次へとまったく違ったスタイルを確立していくなぁと感心してしまいました。
しかもどのスタイルにおいても、「あ、ピカソだ」と分かるのが本当にすごい。

そんなすごい個性のピカソの中で、今回存在感があったのはクレーでした。
こんなたくさんのクレーの作品を一度に見れるのは、本当に珍しいんじゃないかなと思うくらいの点数!
クレーは実際に無口な人だったらしいのですが、それは作品からもなんとな感じます。作品も決して雄弁ではないけれども、そっと静かに力強い主張をしている雰囲気を感じました。
無口だけど芯が強いと言いますか…

対してマティスの方は、期待していたよりも点数としては少なかった気がします。単に、自分がマティスが好きなので、もっと見たかったという願望の表れなだけかもしれませんが…
なんにせよ、東京で開催されているマティス展に行かなきゃ!という想いに火をつけるという結果になりました。

なんにせよ、ベルリン国立ベルクグリューン美術館の素晴らしいコレクションの一端を見れた展覧会でした。

本日の1枚


ポール・セザンヌ《庭師ヴァリエの肖像》1906年頃、水彩・鉛筆、紙

今回の展覧会で1番好きだった作品は、メインの画家(ピカソ・クレー・マティス)ではなく、展覧会の序章的な位置づけで出ていたセザンヌの《庭師のヴァリエの肖像》。

もう色が大好きで目の前に立った途端、うわーーーー!と声にならない叫び声をあげてしまいました。
青と緑、時々ピンクっぽい色がステンドグラスの光のように重なりあって、万華鏡のようでもある。
そうしたまばゆい色の中に座る白い人物。色を吸収しているかのような静かさをたたえていて、”庭師”というよりも紳士に見える。

きらめく夏の光の中に泰然と座っている紳士に心惹かれたのでした。

その他、印象的だった作品

その他の印象的だった作品についてのメモです。

ポール・セザンヌ《セザンヌ夫人の肖像》1885-86年頃、油彩、カンヴァス

またもやセザンヌの作品だが、とりあえず色の美しさ、繊細さに圧倒されてしまった。全体的に薄い青緑っぽい色(写真よりももう少し緑っぽい)で、顔周りの濃いところはコバルトブルーのような鮮やかな青で表現。頬や唇のうっすらとしたピンクがアクセントとなっている。
まっすぐこちらを見ているけれども、鋭いというよりも、物静かで何か問いかけているような雰囲気なのはこの色合いだからなんだと思う。


パブロ・ピカソ《花の冠をつけたドラ・マール》1936年、油彩、カンヴァス

ピカソと言えば思い出す、あの女性の姿形が大きく変形した絵を見ると、ピカソの恋人を描いたと言われても「本当にこの女性のことを愛していたのだろうか…」と疑ってしまうのだが、この作品を見て美しくも描けるんだと思ってしまった(失礼!)。断然にこの絵の方が好き。ほの暗い中にある顔は気高さを感じるためか、ひっかいて描いたのであろう服の線が発光しているように感じる。なんとなく妖精の女王のような雰囲気を感じる。

パウル・クレー《青の風景》1917年、水彩・鉛筆・ペン・インク、地塗りをした紙、厚紙に貼付け

絵本にありそうな可愛さ。似た形の反復による形のリズムと、配色のまとまりによって、安定しているけれども退屈ではないというバランスを取っている気がする。画面上部の青色は、水彩のよくあるにじみではなくて、面白いテキスチャーになっているので、どうやってるんだろうと目を凝らしたけれどもちょっと分からず。

パウル・クレー《口数の少ない倹約家》1924年、油彩転写素描・水彩、厚紙に貼った紙

ぱっと見、めちゃくちゃ可愛い!と思うものの、じっと見ていると奇妙な顔に見えてくる不思議さ。文字は「Karge(口数の少ない)」「Worte(言葉)」「Sparsamen(倹約家)」をそれぞれ表しているらしい。そういうのを分からずに見ていると、人懐っこく見つめてきている宇宙人に見えてきた…

アンリ・マティス《シルフィード》1926年、油彩、カンヴァス
こちらは写真撮影NGの作品。片方にめくられた大きなカーテン(幕?)の前で女性が立っている絵。カーテンの動きと女性のポーズが呼応しているような構図。その曲線が優美さを感じた。女性の目鼻立ちが太い黒線で描かれ、髪も黒なのだが、それが艶やかな印象を与えていた。

アンリ・マティス《縄跳びをする青い裸婦》1952年、切り紙、紙の支持体

なかなか大きな作品。微妙に濃さの違う青色の紙で表現されているのが、筆の濃淡で強弱をつけているのに似ている気がした。縄跳びと言いながら縄を途中で切ってしまっている大胆さが、固定概念にしばられている自分では考えられないことだなと思った。切り紙で躍動感を感じられるのも、形にこだわりぬいて到達したものなのかなと想像。

https://www.nmao.go.jp/wp-content/uploads/2023/01/berggruen_listofworks_jp-en.pdf


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