2021年後半に見た映画感想(ネタバレあり)

2021年の7月~12月に見た劇場公開作品の感想をまとめておく。多少ネタバレもあるかも。(~)内は見た日付。

映画大好きポンポさん (7/2,7/9)

よかったはよかったけど…。

映像化にあたってオリジナルキャラが追加されて、非クリエイターにもアプローチできるようになったみたいではあるが、一方で『セッション』的な、異常クリエータが高みを目指す話からぼやけてるってのはあるのかなあ、とか。 

「撮りたかったシーン」、原作ではそこだけカラーページになってるのでかなり衝撃的だったんだけど、映像はもとからカラーなのでその手は使えない。なのであまり印象に残らない。難しいね。

最初の方、色々な技法使って時間を詰め詰めにしててかなりトリッキーだった。最初は気になったけど2回目はすんなり見た。

編集っていってつなぐとこだけやってるけど普通ポストプロセスもっと工程ない?カラコレ、SFXとか…音も必要だし…。
なんつーか、工程が自主制作感がある?

切って気づいたら90分ぴったりになってたって感じの描写になってるけど好きではない。意図して90分まで切り詰めてる感じにした方が合ってると思う。

やはり最終的にたどり着く結論からいって共感できない。ジーンくんに共感できる人滅多にいないんではないか?とはいえ一方で『セッション』は一切共感できないが名作であるし、非クリエイター代表的なアランくん本当に必要か?とは思ったりする。

ブックセラーズ (7/13)

アメリカの古本屋、特に稀覯書を扱うタイプの古本屋と、本のコレクターについての話。古本屋やコレクターの人がどのように本を買うことを始めたのか、どのような本が高い価値になるのか、とかいろいろ。

ネットオークションによる古書販売、本の通販、電子書籍によって古本屋は苦境に立たされているが、あるブックセラーの人が言う「本が印刷されなくなると、美術品として皆が集める様になるだろう」という旨の発言が印象的だった。

竜とそばかすの姫 (7/21)

よかった。
歌がよかった。仮想世界の二次元的なデザインがきれいでよかった。話もまあ、終り方これ解決したのかなとは思うが、全体としてよかったと思う。

世界中で使われているVRSNS的なものの描写なので世界の言語が画面に出てくるのだが、アラビア文字やデーヴナーグリー(ヒンディー語)がちゃんと表示できなくて笑ってしまった。冷静に考えると世界に50億アカウントがあるSNSがアラビア文字やインド系文字圏に対応できてないのギャグだな。

仮想世界で理想の自分になれるのではなく、システムがお前に相応しいアバター用意してやったよってなるの嫌すぎる、動物かもよくわからん化け物みたいな見た目にされた人間は納得してるのか?

最終的な結末は何も解決してないし、いい話みたいに終わらせてるのいいのか?みたいなところはある。

「助ける助ける助ける」、詩だったし、トラップのビートに載せたら曲になりそうだと思った。

ゴジラVSコング (8/2)

人類は愚か…。
でかい怪物が戦うバカ映画で何も考えないで見れてよかった。
最後、落とし所としては上手いなあって思った。

フリー・ガイ(8/13)

良かった。最高。シンギュラリティ〜〜〜〜!

きんいろモザイクThank you!! (8/20)

うーん、まあ良かったが。なんか、私向けの作品ではないなあ…あんまり共感もしなかった。あとこんなに頭身高かったっけ?

大学受験の話なんだけど、志望校に頑張ってみんなで合格してよかったねってのが別に共感できないというか、ふーんみたいな気持ち。別に落ちて浪人してもええやろがい。

ED後のあれなんだったんだ、って思ったけど、そっか終わるのか…。

岬のマヨイガ (8/27)

えーとえーと、多分良かったんだけど…面白かったんだけど…想像してたんと違った…。

予告とかチラシ見て想像してたのは、夏休みに姉妹二人がおばあちゃん家に預けられてそこで妖怪みたいなものと出会ってなんかほのぼの感動系の感じだと思ってたんだけど、実際には震災後の被災地の話だし家族でもなかったしバトル展開とかあって壮大で困惑してた。最後のバトル意外とあっさりしてたな。

要素が多いので一言で言い表しにくい作品ではある。震災からの復興、トラウマの克服、魔物退治、かなあ。

劇場編集版かくしごと ―ひめごとはなんですか― (9/13)

よかったですね。TV版未見。

気に入ってるのは1時間20分と短いこと。総集編は長くなりがちなので。なんか途中端折られたな〜って感じはあり、キャラクターに思い入れを積み上げる部分が少なく、最後集結した人が誰だろう感あるのはあの尺だとちょっとどうにもならない感じはある。

ベタとメタって感じだが、まあ久米田氏の作風だよな。

アーヤと魔女 (9/16)

まあ小ぢんまりしてて悪くはなかったんだけど、まあ悪くない止まりなんだよな…短いのはよかったけどなんか中途半端な感じもあり。

いきなり声の演技が???って感じで始まったけどあれは片言なんだな…どういう意図でそのキャスティングなのかよくわからんが。あと映倫じゃないんだな。

サマー・オブ・ソウル(あるいは、革命がテレビ放映されなかった時) (10/8)

すごくよかった。
1969年にニューヨークの黒人地区(ハーレム)で開催された音楽フェスについてのドキュメンタリー。
フェスの記録映像が撮られたが日の目を見ることなく50年間地下に眠っていた、それが発掘されたので、その映像を見ながら当時の参加者たちがコメントを語るという感じ。音楽を聞きながら当時のアメリカの黒人を巡る状況がわかり、良かった。

ソウル、ブルース、ゴスペルなどが中心で、曲はグルーヴィーでよかったけど、歌ってる内容が政治的なものも多く、政治的な活動の手段として音楽が力を持っていたということがあるらしい。虐げられてきた黒人のレクリエーションが音楽くらいしかなく、それが歌う内容とかにも関連してる、とか…。貴重な自己表現できる場、という。

あと、60年代後半までは黒人をニグロと呼ぶのが普通で、ブラックと呼ぶのはかなり挑発的と考えられていたが、黒人自身が自称として自分たちをブラックと呼ぶのを定着させた、という話を初めて知って勉強になった。

ココ・シャネル 時代と闘った女 (10/11)

シャネルを立ち上げたココ・シャネルの伝記みたいな感じ。言葉による説明が多く忙しいが、短かったのでまあよし。

どんな手を使ってものし上がろうという強かな女性だなあと思った。
ファッションにより女性を開放し巨万の富を築き、一時はナチスに協力したためにスイスに亡命し、復帰して、晩年には若いデザイナーを批判して、最期には一人で墓に入った。
余計なお世話だろうが、なんか…悲しいね。

神在月のこども (10/12)

筋は単純でわかりやすかった。うーんなんかあんまり刺さらんかったわね。チュートリアルが長い。諏訪湖でっかく出てきてよかったですね。

韋駄天が神の元を回って馳走を集めて届けるっていっても、最短ルートしか辿ってないので、東京〜出雲の通り道に無い神は無視か?みたいなところはある。

大地と白い雲 (10/19)

中国映画で、内モンゴル自治区フルンボイルで放牧して居る夫婦の話。広く広がる草原の映像が雄大できれい。

夫は街へ行きたがり、妻は草原で暮らしたがるので諍いが起こる。クソ田舎から都会に出たいみたいな枠組みで日本人でも共感できるかもしれないが、中国で放牧といっても放牧地は個人に割り当てられ、固定されているため、昔のように夏の放牧地と冬の放牧地を何日もかけて移動することができなくなっている。放牧といっても実際は定住生活であり、土地に縛り付けられている。そういう面でも夫が旅に出たがるのは理解できるのかもしれない。でもまあクソ野郎だな。いい映画だと思うけど、もやもやする…。

金を成したモンゴル人が中国語を話すようになるのなんかな…うーんという気持ちがある。まあでも…あるよね…。

プリンセス・プリンシパル Crown Handler 第2章 (10/24)

緊張しながら見てたが良かった。安定してる。時期が開いてるのでどんな人間だったかわからんなっとるな。

ロン 僕のポンコツ・ボット (10/25)

メチャクチャで面白かった。愛すべき駄作!

ロボット売ってる会社のトップのエンジニアが、ロボットが想定外の動きしてるの知って興奮してたの、倫理より興味を優先してる感じあってめちゃくちゃよかったな。

SNSは最悪だし、最後結局全部めちゃくちゃになってるし酷いもんだが、めちゃくちゃになるの見るの楽しいから良いと思います。

アイの歌声を聴かせて (10/29)

よかった。愉快な映画でした。
ミュージカルと、その舞台装置が独特で面白かった。ソーラーパネルの海、好きです。

田んぼの中に一つだけ立ってる高層ビルだとか、自動運転バスは普通の古そうなバスを人型ロボットが運転してるのだとか、ロボットが手で田植えをしてるのだとか、そういう古いものと未来が同居してる感じのある絵が面白かった(現実だと絶対自立走行田植機になる)。まあ田植えについてはただのデモンストレーションらしいですが。

これ、現実と地続きな感じを受けるし絵的に面白いし好きなんだが、現実に対する近さを感じてしまうので、「これだけ技術が進歩してればそういうことも可能だろうな」という納得を与えるのに逆効果になってる気はする。
これは中途半端にAIに関する知識があるからそうなのであって、気にしない人は気にしないのかも。

……ってか実質ウィルスじゃねーか!!!怖すぎる。

創作物で、AIが物を忘れないみたいな表現あるけど、LSTMとかには「忘れる」ための仕組みが導入されてるし、機械だから物を忘れないみたいな表現はそのうち時代遅れになっていくのではって気もする。dropoutもある種忘れるための仕組みとも言えるし。

劇場版 少女☆歌劇 レヴュースタァライト (11/3)

何もわからなかった。迫力があった。
女の子同士の強い感情のぶつかりあいが、舞台装置と歌と戦闘によって描かれる感じの作品。

列車が必ず次の駅へ行くことから予定調和的なものの象徴。
予定調和はつまらんからやめろということで、列車が次の駅につかなかったり壊されたりする。

反復が多い。平面構成を時間軸でやってる様な感じがある。
額縁が大量に降ってくるシーンで展覧会の絵(プロムナード)のフレーズっぽいメロディが流れたので、音楽の面でも他にも元ネタがあるんではないかなあ。

TOVE/トーベ (11/12)

ええと、ムーミンを生み出した人の伝記的なのを想像してたんだけど、実際には半分は女の女に対する愛が描かれてて面食らった。強い。まあよかったんだけどどういう感想を出すべきかよくわからん…。でも多少創作意欲出てきたのでよかった。

当時のフィンランドでは同性愛は違法だったわけで、女と寝たって告白するのは犯罪自慢に近いものがあり、そういう知識を持って見直してみるともっと読み取れるだろうなという気がする。

最後にして最初の人類 (11/22)

よくわからんな。モニュメントの映像とBGMを楽しむ映画かな。その間に未来の進化した人類からのメッセージが語られる。

全編フィルム撮影で、グレインノイズ乗っててよかった。あれエンコードしづらいんだよなあ…。

「最後にして」はわかるんだが、「最初の」ってどういうことだろ。原作を読めばわかるのかもしれない。

環境映像として流すといいのかもしれんが、どう評価したらいいかわからんな…。

素晴らしき、きのこの世界 (11/22)

全体的に(特に前半)タイムラプス映像多くて見てて楽しかった。

前半がキノコの生態について、後半はキノコの薬としての利用や様々な新しい利用法に関する研究について。

菌類から作られた幻覚剤が、ヒッピームーブメントと、さらには反戦や反政府に結びついたため、政府に規制されることとなったというのは知らなかったのでためになった。あとシロアリ等を巣ごと全滅させる菌についての特許すごいな。

サウンド・オブ・メタル 〜聞こえるということ〜 (11/25)

よかったです。よかった。うーん悲しい。悲しいね……。
音響がすごいので映画館の音響で聞きたい作品。

メタルバンド組んでたドラムの男性が難聴になって云々って話なんだが、難聴になったときの描写がリアルでよかったですね、耳鳴りとか…。

見てて思ったけど聾者や難聴の人がテーブルを囲んで手話で会話するとめちゃくちゃうるさいんだな、相手の注意を引くためにテーブルをバシバシ叩くので。

主人公、周りの人間に居場所をつくったりして、でも居ると周りにストレスを与えてしまい、居なくなると後に幸せを残していく。しかし本人には何も残らない。最後は何もかも完全に失ってしまった。辛い。悲しいね…。

フラ・フラダンス (12/6)

すごく良かった。話は王道だけど丁寧な作品だった。
そうそう、震災10年の応援プロジェクトで思い浮かべたのはこういうのなんですよ。
ダンスの多様な下手さが描き分けられてて良かったな…。

なんか『フラ・フラダンス』の感想で『きみと、波にのれたら』の名前を上げてる人がいて不思議だったが、見て納得した。身近な人の死の克服。

主人公が震災で姉を失い、姉の面影を追ってハワイアンズに入ってフラダンサーになり、姉を知る人もそこを去っていき、姉の面影は消えてしまう。震災を乗り越えるってテーマと相似形になっているしそのまんまという感じ。でもそのまんまでいいんですよ。

物販で木のハンガー売ってたら面白いと思うんですよね、つい買ってしまうかもしれない。

クナシリ (12/8)

よかったです。フランスの映画で、現在の国後島の人々を映したドキュメンタリー。ナレーションはない。特定の国に肩入れする感じでもなく淡々としててよかった。
海外ドキュメンタリでありがちな、挿入される環境・自然などの映像にキメキメのカットが使われてて、良かった。

フキノトウがあちこちに生えてて、植生も日本感あるのに、住んでるのロシア人だし社会がロシア式に作られてるの不思議で奇妙な感じする。
あちこちに日本時代の残骸が放置されてて、整備が行き届いてない印象が強い。
ロシア人も、日本に期待を寄せる人もいれば日本に何も期待しない人もいて色々だなあという感じ。ロシア人、国は信頼してないがプーチン大統領は信用してるみたいな雰囲気があった。まあ、人にもよるだろうが、にしても人気はすごいしなあ。

ただ、若い人に対するインタビューがなく、現地に住んでる若者はどう思っているのかとかが分からず、そこら辺もあればもっとよかった気はする(ロシア政府によって収録の許可が下りなかったらしいので、どうしようもないのだが)。

フキでかくない?と思ったらやっぱりでかいっぽい。北はすごい。

ミラベルと魔法だらけの家 (12/10)

よかった。ミュージカル作品楽しいな。みんな色々大変なんだねって話。

同時上映の『ツリーから離れて』も良かった。見た感じ3Dか手描きか分からんかったんだが、手描きアニメーションがめちゃくちゃ丁寧だったということみたい。すごいな。


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