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営業が苦手になった原点

50年後の今だからわかる、
誰も教えてくれなかった、私が営業に失敗した本質


今から半世紀ほど前、私は20歳代の終わりごろで、
舞台照明家を目指していました。舞台照明の仕事は、
デザイン、設計を手掛けるプランナーと、
そのプランを準備、実施するオペレーターに分けられます。
オペレーターも、配電盤・調光器を操作するチーフと、
主に、スポットライトを操作するスタッフに分かれます。
スタッフは、別名、兵隊と呼ばれ、日雇いで集められることが、
常態化していました。
 

渋谷花咲かじいさん花壇


プランナーは芸術家として扱われ、公演のポスターに名前が刻まれ、
一般に、先生と呼ばれていました。
プランナーの仕事は、たまにしか廻ってきませんので、
喰うためには、兵隊の仕事もやらないといけません。
私は、プランナーを目指していたので、できるだけ、
兵隊の仕事はしたくありませんでした。
新人にとって、兵隊の仕事も、照明家の基礎を身に付ける意味で、
とても大事なのですが、その当時、自覚が足りませんでした。
 
そこで、「週休4日で高収入」とのキャッチフレーズで広告されていた
外資系会社による英語教材販売を、アルバイトにすることにしました。

 
舞台の仕事は、週末に集中していたので、週休4日なら、好都合でした。
昔から、思い付いたら直ぐ実行する質だったので、
早速、研修に入りました。

先ず、ポジティブマインドの洗脳、
そして、セールストークのプレゼンテーション訓練、
それから、与えられた名簿を基に、見込み客のアポイントメントを取る電話によるテレアポ作業。
予約を取れた見込み客と、喫茶店等で実際に会っての、
販売活動になりました。

幸か不幸か、早々に成果が出て、表彰もされ、
新人勧誘の「体験発表者」にも選ばれ、
表舞台に立ちました。

外資系会社では、いろいろなキャンペーンが有って、
競争させられます。
それからは、若さもあって、先を急いでしまい、
面倒なテレアポを嫌って、身内や知り合いを辿って、
成果を上げ続けました。
 
会社で賞賛されるに従い、
逆に、身内や知り合いから、クレームが殺到し、
段々追い込まれて行き、結局、
このアルバイトからは撤退を余儀なくされました。

それ以降、周りから、
彼には、営業はさせられないということになってしまいました。
自分でも、もうこりごりでした。
こうして、私は、営業が苦手ということになりました。
以後、きっぱりと、営業からは距離を置いて生きてきました。
 
これはセールスマンが陥る、典型的な間違いの見本です。
何がいけなかったのか、50年後の今だから、とても良く分かります。
では、何がいけなかったのか、
失敗の本質は何だったのか、
深堀してみます。
万事に共通する、セールスの本質に迫ります。
 

世間の波


販売している英語教材は、悪いものではなく、
私から見ても欲しくなるような優れてものでした。
とはいっても、高額で、簡単にに買えるようなものではありませんでした。

従って、分割による月賦販売ですが、
それだけに、販売員には、高額の報酬が入るので、
週に3日も働けば、十分な収入が入る計算です。

とはいっても、販売の会場費や、交通費は自分持ちですから、
成果が出ないと、じり貧になります。

そこで販売員は挫折する人も多く、常に、
新人を募集していました。

 
ベテラン、新人を問わず、苦しんでいたのはテレアポでした。
アポイントが取れないと、商談に行けないので、
残って、テレアポを続けている人は、
バカにされていました。

問題のカギは、このテレアポにありました。
 
もし、当時のリーダーたち、会社の幹部が、
このテレアポの意義を、チャンと説明できていたら、
単なるポジティブマインドセットなどに
憂き身をやつすことはなかったのです。

 
販売員が、焦って、身内や、知り合いに、販売先を集中させても、
限度がありますから、限界がすぐきます。

 
テレアポの基は、会社が金で買った、各種名簿で、
それは見込み客の宝庫でした。

この中から、有望な見込み客を選別し、
見つけ出す、能力があれば、

又は、苦労しても、それを身に着ければ、
見込み客が底をつくこともなく、
成果を上げ続けることが出来たはずです。

販売員に、セールストークを訓練するよりも、
テレアポの、能力開発に努力していたら、
見込み客発見の能力開発をしていたら、
優秀な販売員が続出したはずです。

 
もし、私が、テレアポの重要さに気が付いて、
いかにして有望な見込み客を見つけ出すことが出来るかを考えていたら、
素晴らしい結果を出して、営業の能力高め、
営業の天才と評価されるに至っていたはず、
とは、言い過ぎですが、
営業が苦手になることは、無かったでしょう。

ここに、販売の本質があります。

立川模型飛行場

無尽蔵にある、テレアポの対象者(名簿)との電話で、相手が、
①    英語をどれだけ必要としているか?
②    どれだけ、英語の素養があるか?
③    学習意欲があるか?
④    支払い能力があるか?
⑤    自分で決断できるか?
⑥    相手の喫茶店代を払っても、会う価値があるか?
等々、適切に判断して、コチラで、相手をしっかり選び、
アポイントメントを取る努力をしていたら、
大海原の良好なポイントで釣りをするように、
成果が上がっていたことでしょう。
 
当時の上司が、こんな指導をしてくれた記憶は、全くありません。
上司も、また、目先の成果に目が眩んでいたのでしょう!
残念でなりません。

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