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#37 マイナンバーとアクセシビリティ

色々な混乱がありつつも、ちょっとずつ普及しているマイナンバーカード。

総務省によると今年4月末時点で保有枚数率は73.7%まで増加したとのこと。
思っていたよりかなり多い。

先日はこんなニュースもあり、カードを持ち歩く必要もなくなっていきそうです。

個人情報への懸念、一時期話題になった情報管理体制への疑問などから「反対」または「不安」な人も多いようですが、私はマイナンバー拡大に大賛成です。

自分自身への暮らしの便利さや、各種手続きの一元化・簡素化による社会的メリットが理由ですが、

それに加えてもう1つ
障がいのある人にとっての各種公的手続きのハードルを下げる
という効果について今回は書きます。

アクセシビリティ

Access(近づく)+Ability(可能性)で、アクセシビリティ。

どんな障がいがあっても生きやすい社会を作っていくためには、
様々なアクセシビリティを高めていくことが不可欠です。

物理的な例だと、街中の点字ブロックや信号機の「ピヨピヨ」音、エレベーターの設置など。

現在何より重要になっているのが、ウェブアクセシビリティです。
・どんな障がいがあっても「ネットが使える」
・様々な手続きが「ネットを通して完結する」

そんな社会を「目指す姿」の基本方針にして欲しい。

重度心身障がいとデジタル技術

重度心身障がいのある方を主な対象とした入所施設で介護職をしていた際、
最も驚いたことの1つが、ご利用者のみなさんがPCを使う姿でした。

PC操作や、テレビ・オーディオ・部屋の照明といったリモコン機能
全ての操作が、1つのスイッチ(大きなボタン)によってできるようになる装置があります。

・スイッチを押すと、画面に表示されたカーソルが点滅。
・上下左右と順番に点滅し、動かしたい方向のところで再度スイッチを押す。
・するとその方向にマウス操作でいう矢印が動き出す。
・クリックすればそこでストップし、「右クリック」「左クリック」「ダブルクリック」を更に選択できる

という流れで、ブラウザやメーラーといったwindows操作も可。

脳性マヒのためベッドか車椅子での生活。生活動作は全介助
という方でも、
肘や足やアゴといった、自分でコントロールできる身体部位にスイッチをセットして利用されていました。

ご家族やご友人とのメールやりとりはもちろん、
Amazonで欲しいものを注文したり、
コンサートのチケット予約をしたり。

「パソコンが使えること」が、暮らしの全要素に渡って与える影響の大きさを非常に感じました。

福祉ニーズと役所手続き

PC操作を通じてアクティブに活動、社会参加されている方であっても、役所手続きは基本全てアナログです。

障がい福祉課からの書類は全て「郵送」で施設に届きます。
メールで来ればご自身の好きなタイミングで開封・確認できるのに、
封筒で来た書類は職員が開封して読み上げてくれることを待つしかありません。

入所施設という入れ替わりシフト制の職場では、不慣れな職員やパートさんばかりの日もあり、
「何か難しそう」「書類関係のことはベテランさんで」
と封筒着から開封まで数日かかっていることもありました。

福祉ニーズの高い人ほど、役所との接点が増える。

色覚配慮や音声読み上げ対応など、行政関係のHPでは既に様々な配慮と工夫がされていますが、

「手続き」へのアクセシビリティという視点からの対策をもっともっと進めてほしい。

マイナポータルに感じた可能性

既に、ふるさと納税や自動車税といった一部手続きでは、
窓口対面や郵送といったアナログ手続きがなくなり、
電子申請やオンライン納付に切り替わってきています。

これがもっともっと広がるためには。

私自身の退職に伴う各種手続きのために
「マイナポータル」アプリを久々に開いて、
「そうそう、これこれ!」
と感じました。

「健康医療」「おかね」「住まい」
の大分類の下に、「乳幼児健診」「年金」といった小分類が並び、
各種手続きに簡単にアクセスできるようになっています。

国民年金への切り替え手続きをこのアプリ内でしてみたのですが、非常に簡単。
UIもシンプル完結で見やすいです。

現在は、
本人認証のため「iphoneをマイナンバーカードにかざす」という動作が必要。
重度心身障がいの方だと結局介助者の手を借りる必要がありますが、

iPhoneにマイナンバーカードが組み込まれた後、顔認証で本人認証ができるようになれば、それも必要なくなるかもしれません。


縦割りになっている各種制度へのアクセスがマイナンバーで一元化され、
マイナポータルを通じたweb操作で全ての手続きが完結できる。

関わってきた「障がいのある子たち」が暮らしやすい世界を作るという意味でも、
そんな社会を目指していきたいです。


福祉ニーズの高い人ほど頻度が増え、
必要性も高い「役所や公的制度へのアクセス」

そこへのアクセシビリティを飛躍的に高めるという意味でも、
社会のデジタル化やマイナンバー活用の拡大、どんどん進んでいって欲しい、
という話でした。

ではでは。



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