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「輓馬」読書感想文。

サムネは「ばんえい十勝」ホームページより

読書習慣がつき始めて来た。月1冊ペース。
今年の2冊目は小説「輓馬
先月読み終えてるのだが感想文を書く暇がなかった。やっていく。

読んだきっかけ

この時に、かとうさんがBOOKOFFで買ってくれた本である。角で殴ったろか思ったけど避けられたやつ。やっと読んだ。

どんな話?

ばんえい競馬を巡って、人生に例えた話。
そう。競馬はギャンブルであり、人生もまたギャンブルである。

冒頭いきなり、金もなくクソ寒い格好で何も食べてない男が12,000円の全財産のうち4,000円賭けてて惹き込まれた笑。

あまりにも有名w

主人公は全くの初心者であり、なぜそんな無謀な勝負に出たのかは物語が進んでいくと分かっていく。(ギャンブルやらん人は結局わからんかも笑)

そんな主人公と競馬を知らない読者にもなんとなく輓馬を知ってもらうために「兄さん面白い買い方してるね」みたいなこと言ってくるおっさんが登場して色々と説明してくれるので安心です!(安心できないw)

おっさんとのやりとりや、競馬場での1日の過ごし方(勝ち負け)、ギャンブルあるあるがふんだんに盛り込まれてて「競馬たのちい〜!」ってなった笑。

少しずつ輓馬が分かってきた主人公が呟く「人生そのもの。思い通りにはならない」とか「勝つにしろ、負けるにしろ、今、おれはここにいる」だとかは微笑ましさすらあるw

そして訪れるビギナーズラックのレース、読んでて大興奮したww描写が素晴らしかったw

さらなる勝負を続けて、主人公はどんどん人生を学んでいく。

「負けろ。負けてしまえ」
「敗者は肉になればいいんだ」

大笑いしちゃったwwwwwwwwww
正しい読みなのかな?wwwww
どうなるかは読んでのお楽しみでw(察し)


第二障害

物語後半、主人公は調教師である兄の厩舎に転がり込み、馬の世話やらなんやらをしながら、なんやらかんやらしていく。

開催期間なので出れなくなることも知らずw

北海道にいて東京の夜を思うと、ずいぶんと昔の出来事のように感じられた。

距離は時間と同じ働きをする

東京と北海道には別々の時間が流れているような気がしてきた。(中略)この二十年あまり、矢崎があくせくしてきたのは、ひたすらもっと遠くへ、より遠くへ行くために他ならなかった。

おれはこれまで何をして来たのだろう

といった描写にも胸を打たれる。


テツヲ登場

調教師兄の下にいる厩務員見習いの中に、読み書きが出来ないが馬の調子や気持ちを一番理解できるキャラクター、テツヲがいる。

厩務員になるための試験に通らないであろうテツヲについて、兄はこう語る。

「字書けたからって、それが何になるんかな。そんなことばっかりやってるから輓馬がつまらなくなる」

そんなアスペっぽいテツヲの苗字が、本をくれた人とおなじ「加藤」なのクソワロタ。すげぇな、かとうさん。持ってる。

主人公もテツヲを見て思う。

テツヲなら、と思った。おそらくテツヲはあれこれ考えないだろう。無鉄砲に飛びこみ、飛びこんだ先でふたたび無鉄砲に飛ぶ。(中略)あれこれ考え、未来を限定してしまうのは不確定の未来が怖いからだ。

これを某インターネットコミュニティに書き込んだら、かとうさんが「うんうん」スタンプ押しててウケた。


兄と語る。

「自由でいるにも、才能が必要なんじゃないかな。才能のない奴が何でも好きにしろっていわれて放り出されても、明日何をするかなんて考えられないだろ」

プロ奢みたいなこと言う〜

「明日のことを、金のことを思い煩っている間は自由だとは感じないな」

甲本ヒロトみたいなこと言う〜

「馬はよ、曇りのない鏡さ」

兄、熱い。

「何かをしようと思ったときにな、それをするのが自分らしいかって考えるんだな」「難しいな」「俺の場合はな、自分が死ぬことを考える。(中略)(死ぬときに)どっちの方が笑えるだろうって考える」

死を語る!好き。

やがて厩舎は主人公にとって居心地の良い場所となっていく。そして…。あとは読んでのお楽しみ。

厩舎に積もった雪が蒼く、ぼんやりと輝いている。(中略)
顔を上げたとたん、自然と嘆声がもれた。「おお」
月。

こういった描写に、ぼくの故郷でもある北海道を感じられて、とても良かったです。

巻末の解説に、

全編に横溢している〈死〉の匂いを感じた。

とあり、様々な隠喩について書かれていて、なるほどな〜となりました。競馬好き、北海道出身、死好き(笑)な方にオススメですw

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