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niwagurashibooks 「ともだちは海のにおい」

子どもから大人まで愛されるベストセラー、「ともだちは海のにおい」。
主人公いるかとくじらのほのぼのとした日常が描かれる児童文学だ。
言葉のリズミカルな楽しさと、ユーモラスな2匹の会話に、こちらまでほのぼのしてしまう。
全体的に本の中に流れる雰囲気が好きなのだが、せっかくなので一部ご紹介しておこうと思う。

くじらが宇宙について学んでいて、いるかに教えてあげるシーン。

「いちばん遠い星は、どこらへん?」
くじらは、また泳ぐことにした。泳ぐくじらは、ホクロのようになっても、まだとまらない。どんどんどんどん。とうとう、どこにもいなくなった。

(中略)
くじらが帰ってきたのは、そろそろ日がくれようとするころである。
「おかえり、くじら」
いるかは、いそいでくじらのそばにかけより、
「うちゅうって、さびしかった」
といった。

いるかとくじらの仲睦まじい感じ。
ストレートに、行動する感じ。
生まれてすぐの感情を言葉に載せる感じ。混じりけがない感じ。
すべてが調和していて、許されている感じ。

個人的には、この本を読んでいると、そんなふうに思う。
はじめてこの本に出会った当時は、そんなふうに思っていなかった。

あれから10年以上の時が経つ。
本を開けば、そこには柔らかい光に包まれた大海原が広がり、2匹が海の中でじっと待ってくれてる気がする。
いるかと一緒に輪くぐりをして遊んだり、くじらと一緒に本を読んで一緒に語り合いたくなったら、いつでもまた本を開こうと思う。

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