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クリティカルシンキングのためのオラクルカード #01

この文章では、「無作為に引いたカードの絵柄からストーリーを推察する」というオラクルカード(タロットカード)の構造を、作家やデザイナーの思考ツールとして応用できないかを考察する。

すでに思考ツールとして使われるカードに、「ブレストカード」や「アイディアカード」などが開発されている。つまり、タロットカードも思考ツールとして使用することができるのではないだろうか。

また、この考察を通して、思考ツールとしての側面を強調したオリジナルのタロットカードの開発を目指す。

※この記事はタロットカードについて扱いますが、占いについての記事ではありません。あくまで、思考ツールとしてタロットカードを考察していきます。

1. 実は論理的ツール「タロットカード」

タロットカードといえば、「〇〇について教えてください」みたいな質問をカードに投げかけて、机の上でカードをくるくるし、出てきたカードで結果を占う、っていうもの。正直、個人的に一番意味のわからない占いの1つだった。
タロットカードについて調べ始めたきっかけは、単純に新しいグッズを作りたかったからだった。絵が可愛いし、いいなと。あとは、占い結果に沿って制作を進めていく映像作品を作ってみようかなー、とかそんな気持ちで、まずはタロットカードについての教本を買った。カード持ってないのに。

結果、タロットカードはかなり論理的でクリティカルな仕組みだった。論理的でクリティカルだと思った理由は下記の点にある。
1. カードへの質問内容は「どうなるか」ではなく「どうしたいか」
2. 目に見える占い結果はカードの絵柄(断片的なキーワード)しかないので、自ら答えを構築しなければならない。

1. 基本的な質問内容は「どうなるか」ではなく「どうしたいか」

タロットカードの教本では、まず、カードへの「質問を決める」行為の重要さを説かれた。

タロットは単純に吉凶を占うものではなく、自分が今まで向き合ってこなかったことについて考えるきっかけや、問題を別の角度から見たときのヒントを与えてくれるもの。だからこそなにについて占うのか、質問を明確にすることが大切です。
- 引用『78枚のカードで占う、いちばんていねいなタロット』LUA 著

どういうことかというと、例えば「結婚したい」という漠然とした気持ちがあるとする。このとき「自分は結婚できますか?」という質問をそのままカードに問うのは良くないとされているのだ。次の段落で詳しく説明するが、タロットは絵柄の断片的なキーワードを自分の置かれた状況と照らし合わせ、ストーリーを構築することで答えを生成するため、「自分の置かれた状況」が抽象的であればあるほど、答えを生成することが困難になるのだ。
 
《「結婚できるか」という質問の解像度を高めるフローの例》

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おそらく、このフローを行うことで何割かの人は占い自体が不必要になるのではないか?と思う。自分が何について悩んでいたのか?が明確になることで、するべきことが見えてきて、何割か不安は解消されるはず。ハイデガーもダーザイン(いま自分がここにいる、実在していることを自覚する)を唱えてますし。質問内容を明確にできた時点で、悩みをだいたいクリアしてると言える💮


2. 目に見える占い結果はカードの絵柄しかないので、答えを自ら構築しなければならない。

質問の解像度を上げたら、いよいよ占う。カードをくるくるし、カードを配置し、めくる。(このときのカードの配置の仕方も、質問に合わせて的確なものを選ぶ必要がある。今回、配置についての説明は省略する)

例えば、このとき「0.愚者」のカードがでてきたとする。愚者のカードは、1人の未熟な若者が小さな荷物をもって旅をしている様子が描かれている。よく見ると、若者の立ってる場所は崖で、そのまま進むと若者は崖から転落してしまう。この状況から、「無知ゆえに前へ進むことができる未知の可能性」と「一歩間違えれば崖から転落するかもしれない危うさ」を読み取ることができる。

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タロットのクリティカルさは、この後、カードから読みとった内容を自分ごとに変換するところにある。さきほど、愚者のカードから「自由さ」「無知・未熟」「無限の可能性」といった状況を読み取ったが、これらのキーワードと自分の状態を組み合わせ、未来や現状を想像する、その結果がタロットの答えになるようだ。

《質問と解釈の例|愚者のカードを引いた場合》(※にわ的解釈)
「今の自分の状態は?」→「自分らしく生きている」
「人間関係が上手くいかない原因は?」→「マイペースゆえに孤立してるかも」

・・・とこんな感じである。わたしが一番ハッとしたのは、下記のように、同じ質問でも質問者の状態によって、答えが変わってくるという点だ。

《質問者の状態と解釈の例|愚者のカードを引いた場合》(※にわ的解釈)
質問:「仕事のプロジェクト、上手く進めるには?」
●質問者の状態:毎日真剣に考えすぎている
→カードの解釈「もっと気を楽に、力を抜いて!」
●質問者の状態:仲間の意見に振り回されている
→カードの解釈「自分のペースを大事にして!」

・・・といったように、質問者の状態によって想像できる答えが変わってくる。

この部分について知ったとき、「え!?それって、なんでもありでは!当たるも外れるもないのでは!?」と正直ひっくり返った。しかし、裏を返せば、この「当たるも外れるもない」「目に見えるものからしか、今も未来も推測できない」というシステムはとても現実的だ。タロットカードは、「目に見えないものを占うツール」というより、「過去の経験や現状・自身の考えや感情を整理し、普段使わない思考回路からの考察を試みるツール」という方がしっくりきたのだ。

2. 思考ツールとしてのタロットカード

「無作為に引いたカードの絵柄からストーリーを推測する」というタロットの構造を、作家やデザイナーの思考ツールとして応用できないだろうか。

他人の意見が聞きたくなったとき、タロットカードが擬似他人の役割を果たすことは可能なのか。引き続き、考察していきたい。

また、すでに会議ツールとして「ブレストカード」や「アイディアカード」などの前例が存在しているので、それらとも比較していきたい。

3. おまけ

最後に、おまけとしてタロットカードを実践してみて、その答えを考察してみたい。

《質問》
コロナの影響で11月から髪を切ってないが、このまま伸ばすべきか、近日中に美容院へ行って切るべきか、自分はどう思ってるか。

《カードの結果》

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《自分なりの解釈》
質問に対する自分の姿勢:
ベッドでめっちゃ悩んでる人きた。
コロナに感染して職場に迷惑をかけるのが怖く、美容院に行くのが怖い・・・という自分の現状と重ねてみよう。壁にかかっている剣は、感染した場合に起こるであろう誹謗中傷の言葉ということにしよう。

選択肢①髪を伸ばす:
差し出された杯をガン無視ボーイ。が逆さになってる。なんだこれは。
「髪を切ろう」という欲求にひたすら耐えているわたしか・・・?それが逆さなので、そのループする思考を断とうとしている状態か。

選択肢②髪を切る:
攻撃飛距離の高そうな剣を持つ女性。が逆さになってる。
後ろの怪しい曇天が気になる。剣でバッサリ髪を切った後、うっかりコロナに感染してしまうかも😰という不安の現れか

《最終結果》
出てきたカードがあまりに難しく、連想するのに疲れて髪を切りに行くかどうか悩む気力が消えた。

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