~息子に発達障害の診断が下りるまで~ 第6話:それでも迷う気持ち
前回のお話はこちらです。
「息子は発達障害ではない、医師からもそう言われた。この子はただ、他の子よりちょっと手がかかるだけで、私の接し方次第なんだ。だから、もっと息子に向き合いながら、育児について勉強しなきゃ。」
それ以来、私は何かモヤモヤした思いを抱くたびに、自分にそう言い聞かせていました。それでも発達障害に関するネット検索だけは、密かに続けていました。
ある日、いつものようにネット検索をしていると、とある発達障害に関する情報交換コミュニティを偶然見つけました。私は少し迷った末、思い切って、
「発達障害のお子さんがいらっしゃる方に質問です。いつ・どのようにお子さんの特性に気づいたのか教えていただきたいです。」
と、質問を投稿してみました。
ありがたいことに、すぐに何件もコメントが届きました。親御さん達の回答に目を通していてとても驚いたのは、未就学児の頃に気になって園や相談機関に相談しても診断がつかず、就学してから診断がつくケースが多かったことでした。そして、発達障害の診断は病院のみならず、『療育センター』という施設でも行っていることを教えていただきました。恥ずかしながら、私はこの時『療育』という言葉を初めて知りました。紹介状もなくいきなり大きい病院で検査をしてもらうのは難しいので、まずは療育センターに問い合わせた方が良いこと・半年待ちの施設も珍しくないので、動くなら速い方が良いこと・診断がついて終わり、ではなく、その後の『療育』が非常に重要であることなど、非常に多くの情報を教えていただきました。私はこの時情報をくださった方々のことを、今でも心から感謝しています。
ただ、だからと言って、
「今すぐ日本に帰って、療育センターに行こう。」
と、夫に提案する気にはなれませんでした。
そもそも駐在中は日本に住民票も家もない状態でしたので、私と息子だけ日本に長期滞在するとなると、かなりの費用が必要です。既に現地の医師からは発達障害ではないと言われていることも引っかかりました。息子自身も新しい幼稚園に順調に慣れ、楽しく過ごせていたところだったので、ここでまた環境を変えてしまうことへの迷いもありました。
「幼稚園は楽しく通えているし。もう少しここで、様子を見ることにしよう・・・。」
そう思い、パソコンをそっと閉じました。
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