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読書メモ『快感回路』

第一章
パーキンソン病は学習や時間知覚、自己主体感なんかも変化する
第二章
アヤワスカについては『雑草で酔う』が詳しい
ムシッモール(ムシモール)はGABA作動薬で、神経の不活性化実験によく使われる
オピオイドは中脳水道灰白質など
依存を行動との連合で説明しているが、オピオイド鎮痛剤は沈痛時のみに使うと依存症になりにくい、疼痛下では内因性のオピオイドが出ており、受容体の種類ごとへの効きの強さが非鎮痛時と異なるなど、そもそも薬理学的に異なることが分かってきている
D1は直接路、D2は間接路で、大脳基底核では雑に言うと逆の作用を持つ
第三章
肥満ではVTAの食べ物への反応が減るなら、快感を積分した満足信号がどこかにあるのか
塩味は甘さを増強する
第4章
「オーガズムは脳で起こる」とあり、実際私も頭に多幸感を感じるが、この信号源推定は文化に依存しないかと考えたことがある(脈拍等の変化は全身性なので、腹や胸で感じることはありうる)
小脳は運動誤差だから不随意の時に活動しているという解釈だが最近は小脳も報酬予測等の信号を持っていることが分かってきている
自閉症へのオキシトシンスプレーはうまくいってない
第5章
予測でドーパミン放出→予測で快楽としているが、ドーパミン放出=快感なのか?
側坐核は腹側被蓋野、背側線条体が黒質緻密部から どちらも報酬予測にかかわっているが、黒質は運動寄りっぽい 違いは何だろう
第6章
快の反対は退屈とあるが、退屈なマウスは自ら電気ショックを浴びに行くという実験がある。最近は情報の獲得(好奇心)などの内的な報酬を強化学習に組み込むことでこれらを説明しようとしている(本書にも情報の獲得が快楽であるという節もある)。なお退屈の神経活動は島にあるらしい
視床下部概則野に他者の報酬情報を処理する部分があり、隣の芝は青いなどの現象に関係するのではといわれている
第7章
報酬系関係の遺伝子は依存症だけでなく、ADHDや努力遺伝子(どれだけ遠くの報酬を待てるか)関係も見つかるので極めて倫理的に危険

全体
かなり面白い実例が豊富で、神経科学的にも十分裏付けがあって良書だった。
快楽は動機付け、(強化)学習、情動、価値判断などとも深く結びついているがそこへの言及があまりなく、現象論でとどまっていて、快楽の意味みたいなものに踏み込まないのは不満だった。

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