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結晶体(抒情詩)


結晶体

結晶体の一粒の意味は
まるで飛び交う眩しい光虫のように
思いがけない線を描き
見えない星座のように消えていく

果たして正しさを追うほどに
詩は文脈を読まれているか
意味を解き放とうとするようでいて
探していることを

果たして過ちを贖うように
結晶体は凍らぬ夜を覚えているか
まだ膨大な熱量と圧力に溶けていた
熱い物語であったころのことを

宝石となったものたちへ
輝石である結晶たちへ
多面の角度はまだ鋭くあるか
透明はまだやわらかくあるか