寒い、歯が痛い

雨が降っていて、朝飯を食ったあたりから歯が痛くなってきた。
歯が痛くなるのはときどきあるんだけど、今回はロキソニンがあまり効かないのでかなりヤバいと思う。
歯医者に行くと、必ず歯の磨き方とかに文句を言われるので、それがイヤで何年も行っていなかった。

外は雨がビシャビシャ降っているし、寒いし、ロクでもない。
つらい。悲しい。
この世には何もいいことはないのか?

歯医者の診察券も見当たらない。
ネットで調べたら、よく行っていた歯医者、明日、休みだって。
まあどっちみち予約してからになるから、明日行こうと思っても行けないけど。

荒涼とした、人工物しか見当たらないアスファルトの道をずっとトボトボと歩いている気分。
たまに人とすれ違うとスーツを着込んだビジネスマンで、足早に通り過ぎていく。
気温は低い。
寒い。
天候も薄暗い。

自販機ではつめたいものしか売ってない。
コンビニに入ればすべてセルフでやることになっていて、店員もいない。

つらい。悲しい。

明るく朗らかな人に話しかけたら、一気にその人の表情がくもり、
「観たいテレビがあるから」
と、「録画したらいいのに」と思えるあからさまなうそをつかれて去って行った。

さびしくて泣いていると、
グリス増村が話しかけて来た。
クリス松村のそっくりさんである。

グリス増村が渡してきたあたたかい缶コーヒーを、自分は飲んだ。
しかし、グリス増村は「戦後、熊に襲われた村々」についてしか興味がないので、その話を五時間聞かされ、その間、「自分は精神と光のうつろう濃密な異次元空間」をさまよわなければならなかった。

おしまい

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