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「勝手に DI 室」フィブラートの使い分けについて考えてみる

現在使用されているフィブラート系薬剤は、フェノフィブラート、ベザフィブラート、ペマフィブラートの3種類があります。

電子添文およびRMPから作成

治療の主な目的

脂質異常症は、動脈硬化の原因となり将来的な脳卒中や心筋梗塞などが起こるリスクとなるため、フィブラート系を含めた脂質異常症の治療の主な目的は、脳卒中などの心血管イベントをいかに抑制するかが鍵となってきます。
スタチン系はもちろん、フィブラート系を使用することも、様々な心筋梗塞や脳卒中などのイベント発生リスクを抑えること、つまり心血管疾患イベントの一次予防に役立つことが分かってきています(1)

腎機能障害に使えるフィブラート

腎機能が低下している患者さんにとっては既存のフィブラート(ベザフィブラート、フェノフィブラート)は横紋筋融解症発生リスクが高いため、用量などに制限があります。一方で、日本の CKD(慢性腎臓病) の患者さんに投与したデータの解析結果によると、各フィブラートの使用によって安全に心血管イベントの発生リスクを抑えることが示されました。 
薬剤別に見てみると、心血管イベントの抑制効果は、ペマフィブラートによる抑制効果は統計学的に有意差を示しました。(2)

実際、透析を受けている患者に対して使用が可能なフィブラート系は、ペマフィブラートに限定されている。 これは、2022年8月にペマフィブラートの「禁忌」等の改訂について、製造販売後の調査 PALT02 試験の結果により、血清クレアチニン値が 2.5 mg/dL 以上又はクレアチニンクリアランスが 40 mL/min 未満の腎機能障害のある患者に対する禁忌が削除となっており、使用することが出来るようになっているのです。(3)

フェノフィブラートによる尿酸値低下傾向

 2型糖尿病を対象にフェノフィブラートを使用した心血管イベントの発生リスクを調査した試験の事後解析によると、フェノフィブラートはプラセボと比較してベースライン時より尿酸値が有意に低くなったことが明らかになっています(4)。 その他にもいくつか同様の結果が示されているようです(5)(6)。

具体的な機序について調査をしてみると、フェノフィブラートの服用によって、ベンズブロマロンやロサルタンと同様に URAT1 を阻害することで、尿酸排泄を増加させる効果がある事が示されています。(7)

参考

  1. Cochrane Database Syst Rev. 2016 Nov 16;11(11):CD009753.PMID: 27849333

  2. Nephrol Dial Transplant. 2023 Nov 27:gfad248.PMID: 38012115.

  3. ペマフィブラートの「禁忌」等の改訂について https://www.pmda.go.jp/files/000248356.pdf

  4. Lancet Diabetes Endocrinol. 2018 Apr;6(4):310-318. PMID: 29496472

  5. Korean J Intern Med. 2006 Jun;21(2):89-93.PMID: 16913436

  6. Sci Rep. 2018 Nov 13;8(1):16767. PMID: 30425304

  7. Intern Med. 2010;49(2):89-94.PMID: 20075570.



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