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【小説】30年後の後悔 2話

1話 38年前の記憶

 結局、僕の失った記憶を母の言葉、数少ない記憶、さらに1年生のとき以外の記憶から憶測すると、僕は同じ地区に住む数人を中心にいじめを受けていて、それは一部学校にも広がっていたと思われる。
 かくれんぼの鬼に僕がなった場合、その場から全員がいなくなる、遊びに行っても僕は玄関で待たされ、彼らの部屋からは楽しそうな笑い声が聞こえる、子供の頃流行りの秘密基地、その場所を僕だけが知らないなど1年生以外の記憶からも明白だと思う。
 そう、僕が表立って主張しなかっただけで、小学校低学年の間はいじめはなくなっておらず、大人にバレない範囲で続いていた。

 それでもなお、僕は小学校、中学校、高校卒業までの間、彼らと付き合い、何もなかったかのように仲良く接した。

 けれど、嫌なものは嫌で基本的に僕は別の場所を求めた。小さな子供では物理的に違う場所に行く方法は取れない。僕のとった別の場所、それは彼らから遠い場所にいる人との関わりを強くするという方法だった。

 主犯格は1つ上の男の子と同い年の男の子。そこから遠い場所を僕は求めた。中学校1年生の時は、学校を中心に反対に住む(学校から逆方向に帰宅する)同級生と過ごすことが増え、2つ上の先輩の女の子と会話することが増えた。掃除当番の場所、図書委員会、生徒会と僕を可愛がってくれる女の先輩には恵まれた。それは本当に運が良かった。ただし残念ながら色恋はなかった。
 中学校2年生になるとなぜか仲良くしていた学校の反対に住む同級生は主犯格の同級生たちと仲良くなっていき、可愛がってくれる女の先輩もいなくなった。それでも僕は本当に運が良い。

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当時、お互い恋心を持ちながら何の進展もなかった二人が30年後にSNSを通じて出会い、当時の気持ちを告白したお話です。

いただいたサポートだけが僕のお小遣いです。ジリ貧(死語)