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電気自動車って環境に優しいの?

2021年11月12日までイギリスのグラスゴーにてCOP26(第26回気候変動枠組条約締約国会議)が開催され、世界は脱炭素社会に向けて一歩ずつ前進している。同会議では森林破壊、石炭やメタン使用制限など合意内容は多岐に渡るが、一般市民の我々にとって少し遠い世界のように感じてしまう。一人一人が日々どのように行動することで少しでも地球環境の改善に貢献できるのだろうか?

地球環境改善は重要である一方、個人的な見解として産業革命以後人類が化石燃料によって享受してきた文明社会を後退させることは現実的では無い。スウェーデンの環境活動家であるグレタさんが海外の国際会議に参加する為に飛行機ではなくヨットで航海したことは記憶に新しいが、海外や国内遠隔地へ渡航する為に(飛行機という比較的安価で安全な渡航手段があるにも関わらず)ヨットによる航海という命の危険を冒す人は皆無だろう。我々人類、そして特に日本を含む先進諸国の国民はあまりに炭素社会に慣れてしまっている。

分かりやすいところで言うと車。東京都心では公共交通手段の利便性向上に伴い、車を保有する人は若者を中心に減少傾向にあるが、都心部以外では未だ重要な生活の足である。文字通り、ガソリン車はガソリンを、トラックを含むディーゼル車はディーゼルを動力源として走行する(共に石油由来)。シンプルにこれらを化石燃料由来では無い他動力源で稼働させることができれば環境改善に繋がるのでないか?とのことで日々自動車会社が電気自動車や水素自動車の研究開発に勤しんでいる。

欧米及び中国では政府による後押しを背景に電気自動車は急速に普及し、電気自動車専業メーカー(厳密には異なるが)であるテスラ社の時価総額がトヨタ自動車を超えたことは世界各国の自動車関連企業に衝撃を与えた。一般的に株価は会社が将来生み出す利益に基づき算出される為、簡易に解釈すれば世界中の投資家(機関•個人問わず)はトヨタ自動車よりテスラの方が将来利益を生み出すと判断したことになる。それだけ世界中が脱炭素社会実現に向けて電気自動車に期待していると言うことだろう。

そこで所有している車をすぐにガソリン/ディーゼル車から電気自動車にすることで地球環境改善に少しでも貢献しよう(或いは純粋に電気自動車に乗っているとモテそう!)と思った私を含む日本人の皆様は一度頭を冷やさなければいけない、日々当たり前に使用している電力はどのようにして生まれているのか?ということを。

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資源エネルギー庁による「日本のエネルギー2020」曰く、2018年度における総発電電力量の77%を化石燃料(天然ガス、石炭、石油)による発電で賄っている。つまり職場や自宅で使用している電力の77%は化石燃料由来なのである。一般的に特別な契約を電力会社と取り交わさない限り、使用する電力の電源は選べない(ここでは詳細は割愛する)。写真は有名な風刺画であるが日本語的な表現としては日本で電気自動車に乗ることは「木を見て森を見ず」状態にあるかもしれない。

つまり電気自動車普及を促進させるだけでは脱炭素社会に向けて貢献しているとは断言できない。日本政府による電源構成の見直し(再エネ電源開発の促進、原子力発電の適切な運用)のみならず、再エネ電源に耐えうる送電網の整備、電気自動車によるVehicle-to-Grid許可に向けた法改正などの施策を実行して初めて電気自動車が真にエコに貢献する時代が来ると推察される。筆者個人としては電気自動車がエコ云々以前にどのようなものなのか興味がある為、今後徹底比較していこうと思う。

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