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部員インタビュー最終回 森下尚LO/FL (教育学部3年)

二兎Beプロジェクトのリーダーでもある、森下尚(教育学部3年・近畿大学附属和歌山高校)のインタビュー。北大ラグビー部での生活や二兎Beプロジェクトへの思いについて話します。

Qまず初めに、北大ラグビー部の魅力について教えてください。

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一つはいろんなことにチャレンジできることだと思います。例えば、部活の練習一つをとっても、全体練習という大きな軸となる練習がある一方で、個人の時間というのも重要な柱になってきますし、そこにフォーカスすることもできます。当然、意識を高く持てばどこまででも成長することが出来ます。ですが、一方で自堕落な生活や緩みが生まれてしまうと、メンバー争いに関わることさえ難しくなることも十分あり得ます。そういったある程度自身に裁量がある時間の中で、どこまで自分と向き合えるか、追求できるかということをじっくり考えることができます。そして、その試行錯誤こそが正にチャレンジの連続であると考えています。主体性がある北大ラグビー部だからこそ、生じる魅力であり、うまみであると思います。
もう一つは、様々な地域から人が集まってくることで、ラグビーを共通項とした偶発的な出会いが発生するという点です。これは単に、たまたま色々な人と出会うという事ではなく、ラグビーについて今まで自分が持っていなかった価値観、ラグビー観との出会いでもあります。各人のバックグラウンドが違うため、関りの中で自分自身のラグビーに対するスタンスについて、熟考する機会を得ることもできる。そう思います。

Q北大ラグビー部に入った、きっかけ、理由を教えてください。

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実は、最初は全く入る気がなくて(笑)釣り同好会の門をたたこうと思っていました。高校時代に常にラグビーがそばにあった状況から、少し距離を置いてみようと考えていたのかもしれません。ですが、驚くべきことに(笑)無意識に、地元の和歌山から北海道へラグビー道具一式を送っていました。環境を大きく変化させたいという一方で、潜在的にラグビーをしたいという気持ちが、無意識的にあったのだと思います。ラグビー部の新歓活動に足を運んでみて、ボールを触るとラグビーに対する様々な感情が湧き上がってくるのを感じました。もちろん、先輩の親身に部活のことを教えてくれる姿勢や、履修相談会や食事に連れて行ってもらったりするなかで、人間的にも惹かれていきましたし、不慣れな新天地での暮らしの中で、色々な方面から包み込んでくれた包容力のある組織としての「北大ラグビー部」にとても惹かれました。このチームで、またボールを手に取って、自分でチームを盛り上げたい。そして、高校時代に三度決勝敗退した花園予選のリベンジをこのチームで「大学選手権出場」という形で果たしたいと思い入部しました。

Q高校時代にラグビーと勉強の両立で苦労したことはありますか?

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僕自身の性格上、自分の前にあるものはすべてが頑張りたいという思いがあります。その思いが実直過ぎるがゆえに苦労したことは多いですね。どっちにも全力を注ごうとするあまり、当然のことながらラグビーと勉強が、ダブルブッキングのような状態になってしまいました。その中で、それをどう両立していくかという葛藤に時間がどんどん吸われていってしまうという事が起こりました。ですが、自分の中で「ラグビー:勉強=7:3」という比率を確立することができてからは、割と両立が上手くできたように思います。自分でどういう風に過ごせば、かけがえのない時間を後悔しないかという選択に基づいて、覚悟を決められたことが良かったと思っています。

Q勉強とラグビーで共通する部分はありますか?

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僕はPDCA(PLAN・DO・CHECK・ACT)サイクルというか、計画を立てて、やってみて、分析して改善していくという事を個人のレベルでやっていく点にあると思います。勉強もラグビーもある程度のレベルまでは、自分の課題や努力の結果が見えやすいです。その繰り返しという点では、片方での努力の仕方が、他方にも生きてくるというポジティブな共通点であると思います。一方で、矛盾するようですが、必ずしも報われないことというのが、勉強にもラグビーにもあります。どれほど努力しても、花園へ出場することができなかったり、理想の大学に行けなかったりすることは決して珍しいことではないと思います。そういった無限の可能性と不可能性の中で無数の選択肢を選び取っていく難しさや、自身の土台や基礎が成果にダイレクトにリンクしているという難しさのある共通点もあるのかなと思います。

Q学部学科の魅力について教えてください。

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僕は教育学部に所属しているのですが「教育学部」と聞くと、教員養成がパッと頭に浮かぶ人も多いと思います。ですが、単にそれだけではなく、人を育てるという事に対して、社会学、心理学、行政学といった多様な観点から学ぶ場所でもあります。最初は、運動生理学等の勉強をしたいと思っていましたが、社会学系の分野に触れるにつれて、子どもの貧困や若者労働の問題についても興味・関心が広がっていきました。このように自分の興味のあることを、深堀して行けること、またその機会が保証されている点はとても魅力的です。

Q北海道の魅力について教えてください。

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一つは、豊かな気象条件と自然だと思います。和歌山県から出てきたので、雪にはすごく驚きましたし、夏と冬でまるで生活が違うという事には驚きました。冬の期間は、学校や買い物に行くのも億劫になったりすることもあります。そういう自然の厳しさはとても感じました。ですが、そういった過酷な環境があるからこそ、北海道では雪を利用した札幌雪祭りであったり、その他の春や夏が活きてくるというのはあると思っています。厳しい環境があるからこそ、ありがたみを感じることもできます。
また、始めてくる土地でもありましたし、現在進行形で北海道の雄大さをひしひしと感じています。北海道という地域の特性上、まだ手の触れられていない秘境的場所も無数にあると思いますし、大学四年間で味わいつくせないほどの場所だと思っています。この土地のすべてを知りたいという気持ちも湧いてきます。ちょっと場所を変えればすぐに非日常と出会う事が出来ますし、そこから趣味も生まれてきたりします。今まで狭い視野で生きてきましたが、それが大きく広がりました。それは偏に、この可能性を孕んだ雄大な環境だと思います。

Q二兎Beプロジェクトを始めた経緯を教えてください。

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きっかけは、北大ラグビー部にいる人たちが培ってきた経験というのは、同時に直面してきた困難に裏打ちされているのではないかと考えたことです。どんなスポーツでも、勉強と両立していこうという時には、どうしてもどちらか一方に傾いてしまうことは多いと思います。北大ラグビー部の人たちは、そういった難しさの中でラグビーと勉強のバランスを取りながら、大学まで進んできたと思いますし、価値ある経験をしていると思っています。勉強やラグビーはどちらも様々な文脈で「団体競技」と呼ばれますが、お話したとおり個に委ねられている部分も多分にあります。だからこそ、個人で両立を頑張っていこうとする全国の高校生に対して、高校生の皆さんが頑張っている環境に力添えをする形で、自分たちの生き様を組み合わせることができれば、何かしら貢献ができるのではないかと思いました。北大ラグビー部としての”Value”はそこにあるのではないかと思えました。それは一見当たり前のようにやってきたことばかりですが、実は視点を変えれば当たり前ではないのではないかと思えました。同時に、高校生の皆さんからも「偶発的に」僕らのラグビー観を見直すことができるようなエッセンスを頂きたいと思ったのが、具体的な行動に移した契機です。そして、この二兎Beプロジェクトはラグビーに対する新たな関わり方だと思っていて、ラグビー以外のタスクが無数にある中でも、ラグビーという過酷な競技を続けたいという気持ちと、続けてきたという事実や、その上で初めて見いだせる「自分たちのラグビー」の強みについて再考する機会にもなっています。


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