国王は自分のことばかり考えていた。国の政治は政治家に任せ、自分は旅行をしたり、新しい別荘を作ったりしていた。自分が好きなスポーツ選手が出る大会にだけ顔を出し、それ以外の国交活動は全く行っていなかった。
国王はこう思っていた。だって私がこの国の王であるのだから、私の好き放題にして何が悪い。

政治家は自分のことばかり考えていた。どうしたら自分に利益が回ってくるのか、如何にしてお金の流れが自分に流れてくるようにするのかと。国民の不満が溜まって辞めさせられないように、何とかうまく政治を行っているように見える方法を常に考えていた。国王は我々の事にはほとんど関心がないのだから、あとは国民をどう欺くか、それさえできればあとは裕福に暮らすことができるのだから。
政治家はこう思っていた。私は国民の代表となってこの国を動かしているのだ。だから私が裕福になったって良いじゃないか。国王も文句は言ってこないし、私を政治家に選んだのは国民なのだから。

国民は自分のことばかり考えていた。どんどん厳しくなっていく暮らしの中でこれから先、どのようにして生きていったら良いのか、どうしたらお金を増やしていけるのか。節約をし、やりがいを見出せない仕事をし、先が見えない未来を想像し、ため息をつく。
国民はこう思っていた。なぜ我々はこんな我慢した暮らしをしているのに、国王や政治家たちは平気な顔をして暮らしているんだ。我々国民がいなければ、国王や政治家も成り立たないのに。どうして我々を救済しようと思わないのだ。政治を学ぶ時間も心の余裕もない我々にとって、政治家たちがどのように国を動かしているかなんて全くわからない。ただ、今の国に不満を持っているのは確かだ。

この国は、昔はとても栄えていて世界でもトップクラスの豊かさを誇っていた。
今は見る影もない。

10年、20年とこの国は今のまま変わらなかった。


*完全なお作り話です

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