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ラーメン二郎の洗礼

本来なら最初の投稿は自己紹介をするのがおすすめとのことだが、今日の出来事のインパクトが強かったのでそっちを書く。


1.ラーメン二郎とは?

今日、あのラーメン二郎に初めて行ってきた。ラーメン二郎とは東京都港区三田に本店を構える言わずと知れた人気ラーメン店のことで、厳しいルールがあるという都市伝説的な話をよく聞く。事前に調べてみると「ドリンクは店頭自販機で買うこと」「並び中は私語を慎み無言でいること」などなどまぁ沢山の暗黙ルールが出てくる出てくる。あまりにもいろんな記事が出てくるのでサラッと目を通しつつ、店に向かった。

2.サントリー黒烏龍茶の謎

早速駅から歩いて行ってみると7人ほど行列ができていた。流石は人気店だ。まずは初来店だとバレないようにスムーズに行列に並ぶ。すると10分後、一つ前にいた男性から声をかけられた。

「ちょっと烏龍茶買ってきます」

そしてその男性は店の前にある自販機でサントリーの黒烏龍茶を買い、行列に戻ってきた。と、ここであることに気がついた。なんと、目の前に並んでいる4人全員がサントリーの黒烏龍茶を手に持って並んでいるのだ‼︎
これはあのネット記事で見た「ドリンクは店頭自販機で買うこと」がまさにルールとして存在してるのではないか!まさか店内に水すらないのか?列に並んでいて店内の様子はまだ見えない。どうする。俺も自販機に買いに行くか?7人並んでいる時にみんなの手元を確認しておけばよかった…。そう迷っているうちに、前の4人が次々店内へ案内され、列の先頭になってしまった俺は黒烏龍茶を買う機会を逃した。

緊張を押し殺しながらもう少し待っていると、店員さんが「先に小か大かお伺いします」と声をかけてきた。これは予習済みだ。すかさず「小で」と答える。後ろの人は「大ってどれくらいの量ですか?」と聞いていたので、後ろの人より初心者っぷりはバレていないだろう。むしろ相対評価で通だと思われているかもしれない。ちなみに後ろの人も烏龍茶は持っていなかった。そしてようやく自分の番が来て恐る恐る店内に足を踏み入れた。

3.店内へ入ると…

店内はコロナで会話を控えるように掲示しているためか、客が黙々とラーメンをすする音だけが聞こえる。まずは落ち着いて食券機で食券を買う。いわゆる紙の券ではなく、田舎のうどん屋さんのシステムにあるようなプラスティックの札が出てきた。少し驚いたがこれくらいのことでは動じない。当たり前のように札を手に取り、水もあったのでコップに水を注いで席に着いた。(黒烏龍茶が4人連続続いていたのは偶然か?)

そして、店員さんに「ニンニクマシで」と告げて食券を渡した。「マシ」という言葉は、ラーメン二郎の専門用語のようなものらしく、トッピングする際に使う言葉だ。事前に予習済みだったので「僕は初めてじゃないですよ!」という意味を込めて食券を渡した。
すると店員さんからは意外な答えが返ってきた。


「それは後で聞きますね」


「ミスった!?」完全に失敗だ。初来店丸出しではないか。ここまでなんとか初来店を隠してきたのに…。「あっ、そうなんですね」とあっさり常連虚偽罪を認める返事をしてラーメンを待った。

反省のさなか、ここであることに気がつく。レンゲが手元にない。なぜだ。見渡しても見つからない。でもラーメンを食べている人はレンゲを持っている。どこだ。見逃していたか?いやそんなはずはない。あまりにも見つからないので、ここは謎に「俺はレンゲを使わずにラーメン食べるタイプの人なんで」というスタンスで行くしかないかと覚悟を決めた時、店員が前からレンゲを差し出した。
「よかった…なんだよあるじゃねぇか!」
そう思いながら何もなかったようにレンゲを受け取る。そうこうしているうちに厨房では器が5個ほど並べられ、ラーメンが完成していく。

とここで、ある客に店主が何かを聞いてトッピングを追加した。何を言っているのかはわからない。また別の人にも何かを聞く。聞き取れない!なんだなんだ。まだ試練があるのか。ここでマシのことを言うのか?俺にも聞かれるのか?どうやら右の席からの順番らしい。あと1人で俺の番だ。最後の1人の言葉を聞き取ろう。集中して聞いてみる

「!⁈※■○¥:&/)-?」

わからん!!!!
俺の番だ。一か八かで恐る恐る「ニンニクマシで」と答えると、ニンニクに加えてなぜか野菜まで追加された。回答は合ってたのか?野菜まで追加されたことには困惑したが、これでやっと食べられる。あとは食べて帰るだけだ。何も難しいことはない。

4.いざ実食!

味は一口食べるとイメージとは違って意外とあっさりした旨みが広がる。これは二郎系ラーメンにハマる通称ジロリアンの気持ちもわかる。そういえば「できるだけ早く食べよ」的なルールがあった気がする。とはいえ同じタイミングで提供された人には「大」の人もいたのでそんなに急がなくても大丈夫だろう。そう思っておいしく半分くらい食べたところで周りを見渡すと、なんともうほとんど麺を食べ終えているのだ‼︎「大」の人も残り1/3程だった。

これはヤバい。しかも俺は少食で、まだ半分しか食べていないのに正直お腹いっぱいだ。焦りつつ麺を口に押し込んでいくが、1人また1人と帰って行く。やばいやばい。残るは俺と「大」のおじさん。一刻でも早く流し込むために水を注ぎに行くと、焦って財布と買ったばかりの上着を地面に落としてしまった。潔癖症気味の俺はテンションが下がったが、そうも言っていられない。早く食べ終わらなくては。
せめておじさんより先に食べ終わらなければと謎の義務感を感じながら黙々と麺をすする。

5.俺VS大のおじさん

「ご馳走様でした」と、二つ横の席で声がした。

おじさんに負けたのだ。
俺は初心者も丸出しだったし、食べるのも遅いしで心をへし折られた。
おじさんから遅れること数分。あまりの量に吐きそうになりながらやっと食べ終えて、器をカウンターに乗せる。
店員さんにご馳走様を告げ、そそくさと退店した。

もっと食欲が湧くようになったらまたいつか来よう。

そう誓いながら大きくなった腹をさすって駅まで歩いて行った。

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