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高瀬敦也著『人がうごくコンテンツのつくり方』、読了。

なにを隠そう私は現在仲間と一緒にWEBサービスを開発中。その中で、コンテンツ制作のみならずマーケティングパートも担う私にとって役立つ情報が得られるのでは。と考えて手にとった一冊です。

著者の基本的なスタンスや考え方がほぼ私と一致していたため、違和感なくすらすらと読める上、具体的な現場の知見も得られる良書でした。

こんな人にオススメ
☑ プロがどんな風にものづくりをしているのか知りたい
☑ 無味乾燥な「ツール」が、どう「コンテンツ」になるのか知りたい
☑ ぐいぐい営業をかけるのではなく、向こうから好きになってもらう方法ってないの?

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FAVORITE WORDS

ここからは私がメモに残したい文章を引用し、コメントを記します。

煮詰まったとき、間違ったことや関係ないことを敢えて言う「バカになって言ってみる」という伝統技法があるくらいです。

これはホントにそのとおりで、否定されたり笑われるリスクを懸念していては出るアイデアも出ません。現場においては"アリ"なアイデアの幅を決めるために、リスクを省みず「これは流石にないよねぇ?」というぶっ飛んだアイデアが出せる人のほうが重宝されます。

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「突き放す」というコンテンツづくりにおけるテクニックの一部です。ゼロまで削るだけではなく、マイナスにまで削るテクニックもあるということです。

大衆向けサービスを作る際は、どうしても"最大公約数"にとっての使いやすさやわかりやすさを優先しがち。でも、例えばこども向けのサービスにちょっと難しい言葉を入れてみる、とか、一般ユーザー向けのサービスに、ちょっとマニアックな要素を入れてみることで、ユーザーの興味を引いたり、それに気付けた人に「オレSUGEEE!!!」感を提供することができる。

そんな見方もあるわけです。

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人は、興味を持ったモノの「細部」に「本質」をみたとき、さらに好きになって「熱狂」していきます。

小さなところに本質があるのは真理なのです。

これは実体験でわかりみの深い一文。本当にそうで、本でも映画でもプロダクトでも、「自分しか気付かなそうな細かいポイント」に気付いた時、人は共感を覚えたり他の人に伝えたくなったりするもの。これぞまさに人のうごく瞬間だと非常に納得しました。

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ニッチコンテンツに紐づく人の気持ちは「観たい」「食べたい」「買いたい」など能動的なものです。これに対してマスコンテンツとは「観てもいい」「食べてもいい」「買ってもいい」など受動的な気持ちです。

これもほんとにおっしゃる通り。マスを狙いに行く人がいるのはそれはそれでOK。だけど私自身はというと、生まれも育ちもニッチ路線。ニッチの持つ熱狂的な能動性はよぉーーーくわかっているつもりです。

これは裏を返すと、今まで一度も熱狂したことのない人にわからない優位性とも言えますね。

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どんな商品やサービスも、その未来の戦略は「過去」に答えがあります。過去を掘り返し、言語化していく、すると必然的に外してはいけない「ストーリー」の続きがあり、未来に取るべき戦略が見えてきます。

これは確かキャラが独り歩きするくだりの話。コンテンツ制作の際、メンバーとキャラクター設定について会話をしました。キャラクターなんてものは、最初から存在するわけではありません。考えて、作るのです。

ここで大切なのはキャラクターの設定を作るのではなく、キャラクターの生い立ちやストーリーを作ること。こればっかりは、回数を重ねて慣れていくしかありません。

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「言葉の置き換え」はコンテンツ化を図る上で有効なテクニックです。ただのグレープフルーツを「イエローメガみかん」だと言われたら、それはもうグレープフルーツではない新しいコンテンツとして、人はイメージしてくれるのです。

このセクションは、ちょっと笑ってしまったところ。少しTV番組製作者っぽさの出ている部分ではありますが…ワーディングの重要性に関してはどこの業界でも同じこと。

あるコンテンツを、人が親しみやすく覚えやすい言葉に名付けるというのは、ヒット商品を生み出す重要なフックになりえます。

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つまり「動画コンテンツ」そのものにおいて「LIVEであることはテクノロジーの進歩と無関係」です。「LIVE動画コンテンツ」がウケていうるのではなく、「LIVE動画サービス」がウケているのです。

これは自戒も込めてピックアップ。まったくもってその通りだなと。
実はわたくし、つい先日このnoteを使って興味本位で3分ラジオ的な音声ファイルをアップロードする試みを行ないました。労力の割にあんまり聞いてくれる人がいなくてですね(笑)そのマガジンは、近々しれっとたたもうと思っております(๑´ڡ`๑)💦

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敢えて言います。ハズれたコンテンツなんて誰も覚えていません。ちなみに、当たらなかったモノでも好きなモノは覚えていますよね。(中略)そういうものは、一部の好きだった人たちが「隠れた名作」「知られざる名作」として語り続けてくれます。

この一文は、作者の優しさが垣間見えるフレーズだなと感じました。

その通り。コンテンツクリエーションというのは、作れば売れるものでもなければ発信すれば必ずバズるものでもない。だからといって、リスクもない。作り手は、ただただ自分が面白いと思うものを、リスクを恐れず発信すればいい。それを見出してくれる人と出会った時、コンテンツは飛躍的に広がっていく、びっくり箱みたいなもの。

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余談

この著者は最後に

人がうごくコンテンツは気持ちで作られる。

っていう著者なりのまとめを提示してくれているところが好き。
あと、一貫して海鮮丼を使ったたとえ話が上手!笑

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まだこの本を読んでいない人へ

私にとっては、読んでいる間に何度も(あ、やっぱりこう思っていいんだ)みたいな感情が芽生える"答え合わせ"みたいな本でした。

注※ 私は本に書いてあったからとか偉い人が言っていたから正しいと判断する人間ではありません。ただ、運命論的なものやセレンディピティの考えは支持しているので、私が考えているのと同じようなことを後押しする内容の本に出会ったという事実が、私の考えの正しさを裏付けていると感じたのです。

おもしろそうだなと思った方は、ぜひ手にとってみてください。


書いた人:あそび屋Kai

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