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怒ると叱るの違い

怒ると叱るの違いについて尋ねられることは時々ある。
大体は子供が遊んでいたオモチャをお片付けをしないとか、食後の食器を片付けないとかのルールを守っていない時にお母さんがむかっときてカミナリ一発怒鳴りつけるというシチュエーションが「怒る」の典型的なパターンではないだろうか。

結構、子供を怒鳴りつけることでお母さんは日頃のストレス解消にもなってスッとするので、もう何を起こったかはどうでもよくなって、わんわん泣いている子供を後にスッキリとして別の用事に向かっているかもしれない。

子供の方はいきなりカミナリを落とされた訳である。おそらく自分が悪いということは母親の形相で理解できるであろう。けれども、カミナリを落とされたら本能的に耳を塞ぐことになる。カミナリからは逃げねばならぬ。母親はカミナリと共に何事かを叫んで問題は解決した気分になっているかもしれないが、子供にはそんなこと聞こえていやしないのである。

おそらく聞こえていたとしても、例えば「片づけなさい!」のような単純な叫び声としか子供には受け取られていないであろう。そこには何をどこにどのように片付ければ良いかという情報は含まれていないであろう。つまり、子供は怒鳴られただけで、次にどうやれば問題が解決するかはわからないわけである。

怒鳴りつけて問題が解決したつもりのお母さんは再び子供がオモチャや食器を片付けていない姿を見てまたカッとなってカミナリを落とさざるを得なくなる。そこには何の進歩もないわけである。子供にしてみれば出口のない迷路に放り込まれたようなものであって、子供によっては母親の求める適切な解決策を見出せず、実行もできない自分を劣ったものと感じてしまい、自己肯定感を低下させることにつながってゆくかもしれない。母親は子供をスポイルするために怒っているわけではない。けれども結果は不本意なものになりやすい。

これを防ぐためには怒鳴りたい気持ちをひととき抑えることが重要になる。怒鳴ることは清涼感を伴いやすいので、最初はちょっと苦しいかもしれない。けれども、怒鳴りたい気持ちの波を少し我慢すると結構、ピークを過ぎて怒鳴る気持ちは抑えやすくなる。そうすると心も少しばかり冷静になる。

冷静になれば、具体的に子供がどうすればこの問題を解決できたかという具体的な解決策を伝える余裕も出てくるであろう。そうなれば子供の耳元でやや抑えた声で冷静にこうやってくれればママは嬉しいんだよということ、子供にとっては出口へ向かう道を伝えることもできるだろう。これは怒鳴る必要はない。やや小さな声であっても子供が聞き取りやすい声でさえあれば良いのである。

無論、一回言ったくらいで子供が理想的な行動ができるとは限らない。けれども正しい道、出口に向かう道を繰り返し伝えることで良い行動を行う確率や回数が増えてくれれば親の方も子供がしっかりと発育しているという実感を見出すことができるかもしれない。

親も本気でやる必要があるのは当然である。怒りもせずヘラヘラと出口への道を言ったところで子供も本気にならないのは当然であろう。本気で怒る、子供が「カミナリが落とされる!」と本気で思うまでは怒らねばならない。そこでカミナリを落とす代わりに出口への道を伝えるからこそ子供も本気で親の言うことを聞くわけである。

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