生涯未婚の有用性

シングルマザーの批判については慎重にしているのだが、それでも一般論的にいうと、いきなり夫が急死したり、夫から身に覚えのない三下り半を突きつけられたのでない限り、その状況に陥ったことについて、責任の一端はシングルマザー自身も負っているわけである。

江戸時代や明治時代なら夫が三下り半を突きつけたら妻はしおしおと実家に戻らざるを得なかったかもしれないが、今の日本国憲法下では妻と夫が双方同意しない限り離婚はできない。夫が勝手に離婚届を提出したって無効にできるのである。

ただ、法律は離婚のシステムをゆるゆるにしていたから、家庭裁判所ででも離婚しない限り、勝手に話し合って離婚してね、ということになる。そうなると、「あんな憎たらしい夫から養育費なんてもらいたくないっ!」とかそもそも「養育費って何?」の人まで様々な人がいる。そういう人はそもそも養育費支払いの取り決めすらせずに離婚届にハンコを押していたわけである。(デジタル庁の整備でこういう「ハンコを押す」という表現が死語になる日も近いのだろうか)

実際に離婚してから、「えっこんなに生活費が必要なの?そうだ、養育費は?養育費払え!」と喚いても、実際のところ離婚した元夫の耳には届かないわけである。払えったって額も決めていないのにいきなり払えるわけもないのである。しかも、妻の要望としては、「一切元夫には会いたくないし元夫には子供も会わせたくない。元夫は世界に存在しないものとして扱うので、妻の希望の額をテレパシーで察知して必要な時に必要な額を自動的に口座に振り込め」レベルの要求である(ツイッターなどで彼女たちが主張した意見を総合すれば)。「嫌なら政府を取り立て人として強制的に徴収して、支払えない分は政府がサラ金として高利で貸し付けて財産全部身包み剥いでしまえ、元夫はいかさぬやうに殺さぬやうにでは生温いッ!片端から干し殺してしまえッ!」って躍り狂っておられたわけである。

もっとおとなしい要求でも「元夫はたった24%しか養育費を支払っていないッ!」である。そもそも50%近くは養育費の取り決めがないために支払っていなかったことや、取り決めをして当初は支払っていて、様々な理由で支払いが滞ってしまった20%近くの人も「支払っていない」扱いにされたのである。

次のターゲットは「ワンオペ育児」である。フェミニストたちは「専業主婦」を目の敵にしていて、「働かない女はブタだ」キャンペーンを続けていた。これは女性を非正規として安価に働かせたい企業や財界のニーズにも合致していた。現在は共働き家庭数が専業主婦家庭数を上回るようになって久しい。

高度成長期を終えた各企業は、非正規雇用で女性を雇うことによって、固定費の引き下げや雇用の調整に利用することができたということであろう。もう、財界もこう言っているわけである。

「終身雇用なんてクソくらえ!女性を見ろ。みんな非正規で働いているじゃないか。男も非正規雇用にすればもっと固定費が減らせるし、都合よく雇用調整できるからウハウハだあ!」
「え?労働者が文句を言う?なに、組合には反核運動や在日米軍基地反対運動という意義のあるタスクに従事してもらっているから、十把一絡げの労働者諸君の命は会社が保護しているんだよ。女性達にはワンオペ育児の苦しさで自分たちの夫を攻撃してもらおう。労働者諸君も家に帰れば細君に怒鳴られ、仕事場では過重なノルマに縛られていれば経営者様に逆らうような労働運動などする余裕もないだろう。かくして企業は安泰である。はっはっは。これこそ女性の輝く社会万歳だよ。」

シングルマザーの多くは子育てに苦しい生活をしているかもしれない。そういうシングルマザーに左派リベラルやフェミニストはこういうわけである。「ざまあみろ、男どもも非正規雇用で安月給にしてやったから男女の給与格差はなくなってゆくぞ。さあ、女性たちもみんなで反核運動や米軍基地反対運動に力を尽くそう!」

一方で、男たちは「今まで非モテである自分を嘆いていたが、むしろこれからの時代、非モテでいいんじゃないか。嫁や子供に搾取されることなく、自分の人生を楽しむことができる。女たちはそうしてお金を貯めたおっさんを金づるとしてゲットしたがるかもしれないが、『だが断る』これこそが人生の極意ではないか。」と言って次々に結婚戦線から撤退しているわけである。

もう4人に一人の男たちが生涯未婚を選択してしまっているのが今の日本である。


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