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留学に行かないと決めた話

ちょうどこれを書いた時から一年経ったみたい。また一つ気持ちに区切りがついたのでカタカタと書いている。

書き残したいけれど、相変わらず恥ずかしい。いつも以上にくるくると小さく舞っています。


昨年の無念を晴らすべく交換留学に出願し、手にしていたスウェーデンはウプサラ大学ゆきの切符。6月初旬に大学のグローバル教育センターから届いたメールによって、またまた諦めることになっちゃった。

「2021年秋学期については、原則として渡航を伴う交換留学は中止します。
ただし、慎重に検討した結果、すべての条件を満たすケースに限り、例外的に渡航留学を認める特例措置を設けます。」

昨年とは違うのは、多少の余地を残した「特例措置」。

とはいえ私の派遣先で求められたのは「留学先大学が全学生に対し、ワクチン接種または週 1 回以上の PCR 検査を義務化していること」という、ほぼ不可能に見える条件だった(義務化、が感染リスクと相関関係にないのは明白よ...)。

もしかしたら少し粘れば、行ける可能性を引き出せたのかも知れない。

実際に、後日留学センターから送られてきたメールは、なんだか譲歩するかのように、ちょっぴり文言が変わっていた。きっと反論する学生がいたのだと思う。

「ワクチン接種または週1回以上のPCR検査が義務化されているのと同等のリスク状況であると判断できる、客観的な根拠資料の提出ができる場合には、特例措置への申請を妨げない。」

ちゃんと抗議する人がいて、理不尽な決定や牙城を崩していて。すごいなと思った。

私はそれができなかった。

本当はね、誰かのせいにしたかったんです。

こんなに頑張って手にしたチャンスを諦めなきゃいけない現実を、世の中の不条理のせいにしたかった。

でも、ゆっくり自分の気持ちに向き合ってみると、誰かのせいではなく、自分で諦めたんだということに気づいた。


振り返ると一年前。

私は、留学に行けなくなった時に「インターンを始める」という別の新しい世界に飛び込むことに決めた。

もちろん私費留学の準備を進める、という選択肢もチラついた。

ただ、真っ先に思ったのは「たとえ留学に行けなくても後悔ない大学生活にしよう」ということだった。

インターン先で出会ったのは、日本各地の豊かな食文化とそれに携わる人々、そして風土に寄り添った思考や価値観。これはある意味でカルチャーショックで、「日本的な考えにとらわれたくない」と思っていた「日本的」は、東京的、都市的思考だったことにハッとした。

飛び出したいと思っていた日本に、知らない世界がありすぎた。

日本いいなあ、って思った(語彙力...)。

そんなことに気づけた一年だったから。


緩やかに気持ちをフェードアウトさせて、違う価値に気づく中で、静かに留学という夢を終わらせたんだ。

それが自分の意志だったんだ。


自分の意志だ、と気づいた時、もう一つの想いが湧き上がってきた。

それは、叶わなかった夢を引きずるのではなく、次のステージの夢を描き始めたい、ということだった(小っ恥ずかしいことを言っているのはわかっているけれど、片手に冷酒)。

夢がね、見つかりつつあるんです。

まずは向こう10年で考え続けたいこと。

私の生業にしてみたいこと。

世の中に発信してみたいこと。

モラトリアム最高じゃ〜とか言っていた大学生活を、やっと終わらせようという気持ちになってきました。やっとやっと。


そんなこんなで、前向きに、留学に行かないと決めた話。

押し付けられてる、と思った現実も、案外自分で決めてることだったりするかもしれない。どうしようもないな、と批判していることも、半分くらい自分のせいだったり、ね。


夏季限定の純米吟醸を注文しようか迷う、初夏の夜です。


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