子どもの新型コロナウイルス感染 <全国的臨時休校という前代未聞の措置を受けて>
似鳥クリニック院長の似鳥純一です。
新型コロナウイルスの連日の報道、その発生数の増加を聞き、ご不安なことと思います。似鳥クリニックでも、「コロナが怖い」と泣き出してしまうお子さんがいるほど、子供の心にも大きな衝撃があるニュースなのだと実感しております。
新型コロナウイルスがヒトからヒトへ感染する力は「インフルエンザより少し強い」ことがわかってきています。「軽症例が多く」「感染力が強い」ため、感染をコントロールすることは非常に難しいという特徴を持っています。知らず知らずのうちに感染を拡げてしまうことがないよう、日常的な予防として「手洗い」「アルコール消毒」「人混みを避ける」「人との距離をとる」ことに心がけてください。
今、風邪が流行っている季節ですので、当然、子どもも風邪をひきます。今後、その一つに「新型コロナ感染」が含まれる可能性は十分にあります。現時点で子どもの新型コロナウイルスによる患者さんの報告は多くはありませんが、いくつかのまとめでは子どもには重症例はこれまでになく、軽症であることが報告されており、少し安心ができる状況です。
3月2日より全国的に小中高校が臨時休校になることで、子どもたちが両親だけでなく、高齢者(祖父母)と接する機会も増えることも予想されます。その高齢者の中でも持病がある方は重症化することが知られています。大人はもちろんですが、お子さんに「微熱」「咳」「倦怠感」などを認める際には、
持病(心臓病、糖尿病、腎臓病、自己免疫疾患など)ある高齢者との接触は控えましょう。また、高齢者施設への子どもたちの訪問は控えましょう。
【治療に関して】
風邪に対する薬は「インフルエンザの薬」や「溶連菌に対する抗生物質」などごく一部を除き、直接の効果はありません。新型コロナウイルスも同様、現時点では薬はありません。喉の痛みや発熱、咳などの症状を和らげるための対症療法は行いますが、早く治すことはできません。高熱や痰がからんで、喘息様の症状があるときは別ですが、保護者が見て「大丈夫そうだ」と思う場合、お子さんの新型コロナウイルスによる感染のリスクを下げるため、なるだけ医療機関への受診回数をなるだけ減らしていただきたいと思います。しかし、「自分では判断ができない場合」「判断に迷う場合」には遠慮なくご来院ください。また、症状が重い場合や新型コロナウイルスの検査が必要と考える場合には
まず、「帰国者・接触者相談センター」や「保健所」に連絡し、相談してみてください。
【新型コロナのPCR検査を受けるには】
クリニックではインフルエンザの検査のように簡便に検査できるものはありません。
2020年3月(3日か4日くらい)に新型コロナウイルスに対するPCR検査が保険適用になり、「医療上の必要性に基づき医師が判断」し、PCR検査を実施できるようになります。具体的には
【入院】「肺炎の入院患者を受け入れている医療機関」
【外来】当面は「帰国者・接触者外来を設置している医療機関」
【手順】現行通り
「接触者・帰国者相談センター」に相談、センター経由で帰国者・接触者外来設置の医療機関を受診、PCR検査を受けることになる。
一般の医療機関では検査はできない。
【新型コロナウイルスに打ち勝つには】
「人の体の免疫」が重要です。
健康づくりの3要素は「運動」「休養」「栄養」です。
1、なるだけ睡眠時間を確保してください。
2、食事は栄養があり、消化の良いものを摂取してください。食事が取れないときには、美味しいアイスクリーム(ハーゲンダッツなど(私の好み))や飲むヨーグルトなどを取るのも効果的です。柑橘系のゼリーなどは胃に刺激があることがあるので、避けた方が良いかと思います。
3、発熱があるときには水分を多めにとって脱水にならないように注意してください。通常の水をとるのも大事ですが、ミネラルの入っている水分(スポーツドリンクや麦茶)を摂取する方が良いかと思います。
新型コロナウイルスの診察をできる医療機関は限られています。軽症者は自宅安静をし、重傷者に治療を集中することで、死者を一人でも減らすことが可能になると思います。みんなで協力してこの前代未聞の事態を乗り越えましょう。
2020年2月29日
文京区根津
似鳥クリニック
似鳥純一