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研究室選びのコツ

院試を受験する際にはどの学部学科を受験するのかと同時に「誰を指導教官に希望するか」を記入する欄が存在する。マイナーで人が少ない学部では事前のアポでほとんど決定している研究室もあるが、メジャーな学部では第3希望まで書いた上で、院試の成績順で決定される場合もある。
これは会社に置き換えるととんでもない制度だ。毎年新年度になると、上司や所属のガチャが声高に叫ばれているが、配属部署どころか直接の上司まで選べるとしたらどうだろう。昇進しやすい上司、面倒見が良い上司を(実際に配属されるかは別として)選択できるのである。
正直な話、自分に圧倒的な研究力やファインマンもびっくりの優秀さがあるという自覚がないのなら、アカデミックとしてのキャリアパスは研究室環境に依存する。それではさっそく見ていこう。

指導教官はコンスタントに論文を書いているか?

マネジメントの上手な教授や、昔の業績だけでやっている人がアカデミックの世界にも一定割合存在する。博士課程やポスドクのフェーズに至れば彼らからも得られるものがあるかもしれない。だが、修士がまず身に着けるべきは研究者のプレーヤーとして論文の収集から執筆までのライフサイクルだ。修士の環境で一番身近にいる研究者がこれをしていない場合は要注意かもしれない。

研究室・研究グループの規模は?

これは一概に大きいなら良いかと言えるものではない。人数の多さは摩擦や衝突を実質的な指導者を変えることで緩和してくれたり、論文の書き方や査読の突破方法など、研究室内部でノウハウが蓄積されているケースも多い。一方で少数の研究室の方が分野の様々な解析方法を一人でこなす必要から、様々なスキルが身につくかもしれない。教授と1対1で過ごす時間も多いだろう。言うなれば大企業とスタートアップ企業のどっちが良いかという話に近い。自分の性分と相談して決めることをお勧めする。

発表に対する姿勢

これは大学院で専門や領域を変更した場合や、学振や奨学金免除などを狙う場合は特に重要である。
同じ学科研究分野でも発表の機会には大きな違いがある。とにかく小さなことでもよいから何か発表しなさい、という人も入れば、研究発表とは新しい進捗を共有する場なのだから、やることもないのに発表の場に行くのは時間の無駄、と捉える人もいる。腰を落ちつけて研究したい気持ちも分かるが、人様に理解させるというよりも理解していただかないと立場のない凡人系研究者は、発表の練習も兼ねてイベントに顔を出すことで業績を積み重ねた方が良い。仮に別の道を選んでも有用なスキルだし。

研究室に所属する学生は元気か?

それなりの規模の研究室なら、ボスである教授よりも学生を観察した方が良い。Ph.Dが対応してくれるケースもあるが、立ち位置としては同業者に近いため、優先的に見るべきは学部や院生など相対的に権力的に弱い立場の人々だ。やつれて見える、周囲にエナジードリンクの山があったりする場合には用心した方が良い。

【番外編】指導教官の人間性がお世辞にもまともじゃない時は?

既に研究室に入って、なおかつ不幸にもそりが合わなかった場合に、あなたが取れる戦略は主に3つだ。

  1. 徹底的に抗戦する; 指導教官と決別して博士課程やポスドクの道に進む人は少なくない…がそんな自我の強い人間がこの記事を読む可能性は低いので割愛する。

  2. 相手を人間とみなさずに禅の心でやりすごす; 社会に出てから常々思うのは、落ち着いて対話ができる人間というのが想像以上に希少であるということだ。別に世の中の大半がバカタレと言っている訳ではなく、今の自分と対応に話せる人間というのは上にも下にも限定的であるという意味合いで捉えて欲しい。そんな時は対話にリソースを使うよりも、相手を大きな消火栓だと思ってやりすごすことも一種の処世術だろう。

  3. 研究室を変える; 1.2でも解決しないなら最終手段だがこれも大事だ。あなたは研究始めた手のひよっこかもしれないが、幸いにも2本の足がついている。

【参考にした記事】

やや文体が過激だが参考になる。

教員側の人たちによる参考記事もいくつかあるので参考にして欲しい。

海外でもありがちな悩みらしい。

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