見出し画像

オンラインマーダーミステリー短評(第1回)

最近GMとしてプレイしたマーダーミステリーのオンライン作品の短評です。

J・モリアーティの暗躍(おすすめ)

推理を堪能できる、どのキャラクターの配役でも楽しめるというよくできた作品です。シャーロック・ホームズという設定も十分に活かされています。
4人用で手軽にできるので、オンラインマーダーミステリーの入門としてもおススメできます。
シャーロキアンでなくても、シャーロック・ホームズが名探偵で助手のワトスンがいると知ってるくらいで問題なくプレイできます。

少年少女Aの独白オンライン(おすすめ)

オンラインで本格的なマーダーミステリーをプレイしたいという方におススメできる作品です。
ストーリーは情緒的ですし、犯人探しもしっかりしています。いわゆる確白の探偵役もすごく楽しめるシステムが用意されています。
この作品に限らず、オンラインでは没入感がどうしても対面よりも劣ってしまいますが、それでも感動で泣く方が出るほどの良作です。

籠の燕は夜、夢を見る(おすすめ)

9人用で複雑なギミックもあって、対面の作品として十分に通用します。
ユニークな試みがあって、ゲームの前半と後半で体験がガラリと変わるのが刺激的です。
オンラインマーダーミステリーの中ではヘビー級です。マーダーミステリーの難易度としては中程度なので、マーダーミステリーをすでに何作かプレイしていて、オンラインにも慣れたころにプレイするとよいです。
ただしGMのスキルがある程度あって、資料をきちんと読み込んでいないと進行できないのと独特なテキストの言い回しを解読するのが大変です。

夕景

犯人探しだけであればあっさりしていますが、1人1人の物語は情緒的です。
マーダーミステリーというよりは、疑似マーダーミステリーで感動的な物語を共有体験する作品といった方がよいでしょう。
そのためエモーショナルなストーリーよりも推理や個人戦を求める人にはまったく向きません。

蜃より出づるは夢か現か

オンライン作品の中ではかなり本格的です。
個人目標と犯人探しのバランスがうまく取れていますし、戦国時代という題材をうまく活かせています。キャラクターの濃淡はあるものの許容範囲内です。

夢幻世界と秘密の恋

ちょっと変わった世界観とシステムですが、どういった結末になっても納得はできるでしょう。
ただ作者が意図した筋書き通りに進行するには誘導が少し足りず、システムで活かし切れていない要素が出てきてしまい、配役によっては不満を感じる人がでるかもしれません。

旧き支配者に冒涜の贄を

前半の調査フェーズが独特なシステムで、こういう体験をさせたいという意図はわかりますが、行動経学的な観点からゲーマーであればあるほど満足度を下げてしまっています。
後半の犯人探しの難易度は低めです。
題材はクトゥルフ神話ですが、クトゥルフ神話好きを唸らせるほどのストーリーではなくてテイストだけです。

Love letter from XXX

作品の結末自体は納得がいきますが、犯人探しだけを捉えると納得いかない箇所はあります。キャラクター同士の矢印がどこに向かっているかというバランスがあまりよくありません。
人が死なないほのぼのした作品です。

狭霧荘の奇妙な下宿人(おすすめしない)

ある分野に秀でているからといって別の分野で秀でているとはいえない典型です。
作者は新本格のミステリー作家ですが、ミステリー小説が書けるからといってマーダーミステリーが作れるわけではないという見本です。
ゲームでプレイヤーがどう行動するのか理解しているとは思えません。またキャラクターやその感情がストーリーを紡いでいくのではなく、設定ありきでそれにキャラクターの行動を嵌めていったようにみえます。

親愛なる諸侯へ(おすすめしない)

やりたいことの意図はわかるのですが、結果だけを見ると納得感は薄いです。
定石が定石であることには理由があるので、それをただ破るのではなくて、プレイヤーがなるほどと頷ける仕掛けを定石のとき以上に用意していないと、満足度をただ下げることになってしまいます。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?