【読書メモ】休み時間の免疫学 第3版 (休み時間シリーズ) 齋藤 紀先 著

ウイルス・ワクチン・免疫が随分身近になった。
疑問が2つ。ご存じの方ぜひ教えてください。
医療系学生向けだけど、教科書より分かりやすく書かれた良書でした。
(他書で推薦されていたので借りました)

【読書メモ】
休み時間の免疫学 第3版 (休み時間シリーズ)
齋藤 紀先 著
https://www.amazon.co.jp/dp/4061557181/

●抗原提示細胞 p.24
 樹状細胞、マクロファージ、B細胞
 リンパ節でT細胞に「体にこんな敵が入ったぞ!」と教える
 自分の身分証明(MHCクラスⅡ分子)の上に抗原を提示する
 
 ※MHC分子は「自分は外敵でなく、もとからいる自分自身の細胞です」
  という身分証明となる大切な分子。

●白血球はファミリーネーム p.76
 顆粒球系:好中球、・・・
 単球系:マクロファージ、樹状細胞、・・
 リンパ球系:B細胞・形質細胞
       T細胞:ヘルパーT細胞、細胞障害性T細胞、・・・
       NK細胞(ナチュラルキラー細胞)

●抗体の働き p.88
 抗原に結合して好中球の貪食能を上げる「オプソニン化」
 ウイルスに結合して感染力を失わせる「中和抗体」の作用

●抗体の構造 p.88
 4本の鎖が結合したY字型
 参考:https://www.chugai-pharm.co.jp/ptn/bio/antibody/antibodyp06.html

【本書での素敵な告白】p.89
 これまでY字の両腕が開いた部分の間に1つの抗原が結合するような
 イラストでしたが、実はY字の両腕それぞれに抗原と結合する部位
 (可変部ドメイン)があり、本当は1つのY字に2つの抗原結合部位が
 存在します。

★疑問
 1つの抗体でウイルス表面の2個のトゲトゲ(スパイクタンパク質)
 をふさぐ場合、トゲトゲ間の距離とY字の両腕の間の距離が一致
 しないと、うまくふさげないよねぇ?
 Y字の両腕自体がフレキシブルなのか? 距離も適正化するように
 抗体遺伝子の再構成で腕の長さも選択的に調整されるのか?

●メモリーB細胞 p.99
 抗原と結合して刺激された成熟B細胞のくせに形質細胞まで
 分化せず、抗体をつくらないで体内に残るB細胞
 →次に同じ抗原が侵入したときに、いち早くその抗体を産生する
  形質細胞になれる(つまり、抗体以外の免疫機能)

●B細胞・T細胞の多様性 p.114~117
 膨大なレパートリーの抗体を作れるわけ
 →抗体遺伝子の再構成

【本書での素敵な説明】
  シャツ10枚×スカート20枚×靴6足で1200のコーディネート
 参考:https://ruo.mbl.co.jp/bio/support/method/antibody-role.html
    https://www.kyowakirin.co.jp/antibody/basics/diversity.html

★疑問
 ウイルスの種類は様々なのに、手持ちのコーディネートだけで
 本当に適切な抗体が作り出せるのか?

●免疫の記憶とワクチンの目的 p.144
 ワクチンは、安全かつ効率的にメモリーB細胞・T細胞を
 体内に残すことを目的としている
 感染予防には中和抗体(体液性免疫)が重要
 治癒には細胞性免疫が重要

 メモリーB細胞(細胞性免疫):
  次に同じ抗原が侵入したときにすぐ抗体を作る
 メモリーT細胞(体液性免疫):
  次に同じ抗原が侵入したときにすぐ感染細胞を攻撃する
  Tc細胞になる

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