【読書メモ】先生、どうか皆の前でほめないで下さい いい子症候群の若者たち(金間 大介 著)

現代の若者の思考回路、仕事への考え方。本当かなぁと思う言説が多い中、金間先生の分析は納得・共感できた。また文章が軽快・痛快で面白い。マーケティングや人事の人にも役立つ見方だと思った。もちろん、思考回路もグラデーションだと思うけど。もう一点。若者の有り様を作ったのは大人だという視点も同意。
<注意> 
私の読書メモ読んでる時点で「意識高い系」ですよねぇ。
「意識高い系」については、折を見てまた。(笑)

【読書メモ】
先生、どうか皆の前でほめないで下さい いい子症候群の若者たち
金間 大介 著(2022/3/18発行)
https://www.amazon.co.jp/dp/4492224025/

●主たる見方
現代の若者にとっては、「目立つ」ことが最も怖いこと。「横並びでいたい」「浮くのが怖い」と思っており、この「いい子症候群」は社会人になってからも急に変わることはない。

<関連メモ>
先週、テレビのワイドショーで内容が紹介されていた。その時のフリップはこれ。↓
今の若者は世の中の課題に対し「みんなで」「力を合わせて」乗り越えようという教育を受けてきた世代。少しでもはみ出して目立つことを避けようとする傾向がある。

●社長賞のような社内表彰制度(p.51)
社長以下のマネージャーサイドは、○○賞を設けることで競争意識が芽生え、社内が活性化すると信じていた。一方、社員サイドは「そんなことではモチベーションは上がらない。むしろ、会社に誘導されているような気がして冷める」という考えが強かった。
○○賞をもらった社員本人でさえ、長期的にはモチベーションが上がらず、下がる可能性も見えてきた。

●若者のワークライフバランスに関する誤解(p.143) より抜粋
いい子症候群の若者たちにとっては、「がむしゃらに働いたり人並み以上に努力しないこと。あるいはその努力を軽視すること」というニュアンスを含む。少し前に「最近の若者は課長にすらなりたくない」という統計データが広まったが、それはすでに時代遅れだ。出世したくないのではなく、もはやどうでもいいのだ。
(日本生産性本部の「新入社員『働くことの意識』調査」より)

仕事に対する意識の低さを「今の若者はワークライフバランスを重視するようになったから」とする論調は次の2点の誤解がある。
・第1の誤解
「積極的にワークライフバランスを取る」=「意識高い系」
「いい子症候群」=「○○したい」でなく「○○したくない」思考が中心のリスク回避志向
・第2の誤解
「若者は多様な趣味を持っている」という言説も多いが、実際にはその可能性は低い。それは少数の「意識高い系」のすることだ。多くの若者がプライベートの時間に何をしているかといえば、
ゲーム、ユーチューブ、Amazonプライム・ビデオ、Netflix、そしてSNSだ。もう一度言うが、本書で議論しているいい子症候群の若者たちには、特にやりたいことは無いのだ。

●著者の解釈(p.198)より抜粋
挑戦が成長につながることを実感できないのは大人であり、一度失敗すると這い上がれないと思っているのも大人であり、既得権信者もやはり大人である。大人たちがそう思っているからこそ、それが子どもたち。若者たちに空気感染する。何のことはない、若者たちはこの30年間、日本の大人たちがやってきたことをコピーしているにすぎない。

●大人への提言(p.226)より抜粋
まずはあなたが挑戦するべきだ。あなたが挑戦し、失敗し、復活するところを堂々と見せるべきだ。そのとき、もしそばに若者がいるなら、こう言ってみてほしい。
「自分はもう一度これをやりたい。今度は絶対成功させたい。だから手伝ってもらえないか」

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