【読書メモ】HSPブームの功罪を問う(飯村 周平 著)

HSPブームのモヤモヤがスッキリする本です。
私のHSPに対する思いは、血液型性格占い、宗教と同様に、良いところだけ使えば良い、と思っています。ただ、騙されて被害を受けないように注意することは大事。

【読書メモ】
HSPブームの功罪を問う
飯村 周平 著(2023/1/11発行)
https://www.amazon.co.jp/dp/4002710742/

⚫功
「生きづらさに名前がつく」ことで自己受容の促進につながる

⚫罪
保護者が「発達障害ではなくHSPだから検査や支援は必要ない」と主張し、
適切な支援につながれないケース。p.50
科学的根拠のないHSP医療ビジネス p.61
(関連情報↓)
木下優樹菜さん「脳波でADHDが分かった」発言で物議 医師らは全否定
https://dot.asahi.com/articles/-/4358?page=1
専門性の疑わしいHSP資格ビジネス p.61
カルト団体やマルチ商法の参入 p.64
「HSPは特別、才能」といった考え方には、「HSPではない人は特別ではない」という
無意識の偏見(アンコンシャスバイアス)が隠されている場合もあるかもしれません。p.50

⚫その他メモ
学術的な心理学では:
感覚処理感受性という心理的特性が相対的に高い人に、HSPというラベルを貼ることがある。p.41
感覚処理感受性を「ある・なし」ではなく、正規分布にしたがう心理的特性として説明する。p.42

差次感受性
=感受性の個人差によって、環境からの影響の受けやすさが変わること p.46

★HSPのタイプ分類
HSP(刺激を求めない内向型のHSP)
HSE(刺激を求めない外向型のHSP)
HSS型HSP(刺激を求める内向型HSP)
HSS型HSE(刺激を求める外向型HSP)
p.47-48

HSPのタイプ分類の妥当性を支持する実証的研究はない。
(色んなタイプの人が存在するが、分類した研究はされていない。)
HSS型HSPは、HSPを提唱したアーロン氏が生み出したラベル。
臨床心理学者の彼女が臨床的な視点から関心をもっていたのかも。
彼女が類型論で知られるユング派であることも関係するかも。
ただ、HSPを提唱したアーロン氏に由来するタイプ分けだからといって、
その妥当性は示されていないことに注意してください。p.48

感受性の遺伝率
双子の青年を対象にした研究では、感覚処理感受性の個人差のうち、
47%が遺伝で、残りの53%が生後の環境で説明された。p.73

バーナム効果 p.30
ループ効果 p.32
 ラベルとの相互作用でラベルが変わってゆく
構成概念 p.51

★著者による「心理学者によるHSP情報サイト」:
https://www.japansensitivityresearch.com/

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